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「社会的地位のための結婚」規範が根強く残る背景 「そうであるべき」人生モデルからの解放を

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 10時30分

さて、私は仕事の関係で海外の研究者と交流することが多く、日本のミドル期シングルについてもこれまでさまざまな形で意見交換をしてきました。そこで質問されたり、議論になったりしたことを通して、この社会的地位とミドル期シングルの人たちのことを考えてみましょう。

先日はニューヨークでさまざまな人々の社会関係を研究されているアメリカの大学教授と話す機会がありました。ミドル期シングルはアメリカの大都市でも大きなボリュームとなっていますが、日本ではミドル期シングルがどのような結婚観を持っているのか、シングルという状態が続くと思っているのか?という話題になりました。

『東京ミドル期シングルの衝撃』の中でも紹介されていますが、男性側は潜在的に結婚願望を持ち続けている人が多いが、女性は高年齢になると、このままシングルでいることを確信し、そのために準備している人も多いこと、などをデータを交えて話しました。

教授からはなぜ女性はある程度の年齢(ミドル期)で、このままシングルだ、と思うのか?と聞かれたときに、例えば、といってクリスマスケーキの話を持ち出しました。もちろんだいぶ前の時代の話ですが、25日を過ぎるとケーキが安くなる(西欧では25日がクリスマスの本番なのでこれもおかしい話なのですが)ので、これを25歳を過ぎた女性の価値にかけていた、もちろん、今は25歳で結婚する人は多くはなく、このケーキの消費期限がもっと先に延びているが、依然として人々の年齢に対する強い意識は根強く、ある年齢を過ぎると結婚という選択はないもの、と思うのでは、と説明しました。

そこから、それは、日本が年齢と性別で「こうすべきだ」「こういう状態であるべきだ」という規範が強いのでは、という議論になりました。教授は日本のデート事情を調査したこともあるそうで、この年齢・性別による人生の規範について話が盛り上がりました。

アメリカでももちろんエイジズムはあり、若く見えることに固執する人たちもいます。また地域が保守的であるとか、宗教の強さなどにもよって、正式な結婚が社会的に重要であるという考え方が根強い層も多くいます。アメリカだけではなく、多くの国ではやはり結婚、パートナーがいる、という状態で人を判断することはあるようです。

ですが、そこに日本では年齢という要素がより大きく関係してきます。「この年齢であればこうである」という、年齢と人生のさまざまなマイルストーン(例えば結婚、出産、家を買う、など)が密接にリンクしていて、それから外れることが、社会の規範から外れてしまうように捉えられているのです。

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