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富士急が買収「西武の遊覧船」小田急にどう対抗? 2人の人気鉄道デザイナーが芦ノ湖で「競演」

東洋経済オンライン / 2024年6月17日 7時30分

箱根遊船の「SORAKAZE(そらかぜ)」と箱根海賊船(記者撮影)

箱根の芦ノ湖は船上から箱根の名所や富士山などの眺望が楽しめるとあって、2つの遊覧船が運航している。1つは双胴船タイプの「箱根遊船」、もう1つは「箱根海賊船」である。両者は乗客の獲得でライバル関係にあるが、その構図に変化が生じている。

【写真16枚を見る】甲板に広がる天然芝、船尾に蔦、客室にはハンギングチェアーも。箱根遊船「SORAKAZE」は、どれほどユニークなのか?

箱根遊船はかつて西武グループが「芦ノ湖遊覧船」として運航を行っていた。1961年には優れた安定性と船体2隻分の広さを持つ双胴船を日本で初めて就航。視界360度の展望甲板に加え、大きな窓からは客室に座ったまま外の眺望を楽しむことができた。繁忙期には定員700人の客室が満員になったという。

これに対抗したのが、小田急電鉄グループが運営する海賊船。大航海時代の帆船を思わせる遊び心がたっぷりとデザインされた遊覧船が1964年に就航すると、あっという間に子供たちの心を鷲掴みにした。船内の至るところにクラシカルな装飾が施され歩き回るのも楽しい。

人気の高い「海賊船」

両者の周遊ルートはやや異なり、箱根遊船は箱根関所跡港→元箱根港→箱根園港→箱根関所跡港をめぐり所要時間は約40分。海賊船は桃源台港→箱根町港→元箱根港→桃源台港を約70分かけ周遊する。

コロナ禍前における両船の利用者数を比べると、箱根遊船は約41万人(2017年度)。海賊船の利用者数は非公表だが、箱根登山電車→ケーブルカー→ロープウェー→海賊船→登山バスを乗り継いで箱根の観光スポットを周遊できる「箱根フリーパス」は2018年度に95万枚発行されている。

フリーパス利用者の大半が海賊船に乗船しているとみられ、さらにフリーパスを必要としないマイカー利用者や団体客が乗船していることを考えれば、海賊船の利用者数はフリーパス発行枚数よりも多いと推測される。

【写真】甲板に広がる天然芝、船尾に蔦、客室にはハンギングチェアーも。箱根遊船「SORAKAZE」のユニークなデザイン(16枚)

海賊船はその人気の高さから数年おきに新造船を投入しており、2019年には鉄道デザインで名高い水戸岡鋭治氏がデザインした新たな海賊船「クイーン芦ノ湖」が就航した。水戸岡氏は豪華観光列車「ななつ星in九州」のデザインで知られ、同船にもななつ星を思わせるデザインが随所に施されている。内装は「女王陛下の宮殿のような感じ」(水戸岡氏)といい、海賊船というよりも豪華客船という表現がぴったりくる。

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