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赤字ローカル線は「ガソリン税」で維持すべきだ 「道路財源を回せ」藻谷浩介氏インタビュー

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 7時30分

④は、「鉄道に乗ること自体が、多くの国では観光資源と認知されている」ことに由来する論点。世界では、移動の過程そのものを観光資源として活かすスタイルが普通に存在します。クルーズ船しかり、大陸横断列車しかり、観光保存鉄道しかり、時間を贅沢にかけ、時に停まり、景色をゆっくりと楽しむことが魅力となっています。

逆にいえば、せっかく存在していた鉄道が廃止されてしまったために、優れた景観を持つにもかかわらずインバウンド来訪の波が及んでいない地域もあるのは残念です。特に北海道には、旧天北線、羽幌線、名寄線、標津線、池北線、士幌線、広尾線、日高線、胆振線など、残っていたら高く評価されたであろう例がいくつもあります。つい最近の廃止事例である日高線などについては、維持を北海道だけの判断に任せず、インバウンド振興という国策的な観点から対処を考えるべきでした。

⑤のロシア対応というのは、以上に比してさらに特殊な観点ですが、北海道東北部のJR線の存否を北海道だけの負担と判断で決めていいのか、という問いかけです。稚内や根室への鉄路の廃止が、対岸のロシアにどういうサインを与えかねないか、真摯に考えて判断すべきということです。対ロシアの国境地帯である、宗谷海峡や北方領土の真向かいの地域をないがしろにして、何の「国土防衛」なのでしょうか。こうした疑問が「保守」の中から出てこないところに、抽象的に「国土」を論じている人たちの地理感覚の欠如を感じざるを得ません。

櫛田 泉:経済ジャーナリスト

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