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野菜も旅も!パナソニック、eコマース参入の狙い 2040年を見据え、藤沢で地産地消型新ビジネス

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 8時50分

「ハックツ!」で注文した商品を受け取る出水澤紀子さん(左)とパナソニックホールディングスの芦澤慶之さん(撮影:筆者)

パナソニックホールディングス(以下、パナソニックHD)が、「2040年の社会を見据えた新たなビジネス」の構築を進めている。神奈川県藤沢市で展開する地域密着型eコマースサイト「ハックツ!」がそれだ。

2023年5月にサービスを立ち上げ、地元産の有機野菜やパン、みそなどの取り扱いを開始。2年目となる2024年度は、地元のホテルなどとタイアップしての市内観光やヨガなど体験型のツアーも計画している。

Amazonのような世界規模でのeコマースとも、かつての松下電器産業が得意とした家電製品の大量生産・大量販売とも異なる「地産地消」型の新たなビジネスを目指す。その社会的意義やビジネスの可能性と課題について検証した。

JR藤沢駅にほど近い雑居ビル4階のコワーキングスペース「NEKTON(ネクトン)FUJISAWA」。5月上旬の午後6時、近所に住む出水澤紀子さんが、LINEを通じて注文した商品を受け取りにやってきた。

【写真】地元のキーパーソンが太鼓判?

eコマースで野菜やパンを取り扱い

出水澤さんが購入したのは、藤沢市内の「ムギナミベーカリー」の自家製パン3点セットと、同じ藤沢市内の「鎌倉味噌醸造」の地元産米を使用した白味噌の「鎌倉みそ」、そして地元農家「八〇八」(やおや)の有機野菜6点セット。「取れたての野菜のおいしさは格別で、大手スーパーやほかの宅配会社の品物とはまるで品質が違う」と、保育園の管理栄養士の出水澤さんは太鼓判を押す。

「お任せのセット野菜なので品目は選べないけど、開けてみて初めて中身を知るのもまた楽しみ」(出水澤さん)と満足げだ。

この地元密着型eコマース「ハックツ!」を運営するのがパナソニックHD。2023年5月にスタートした同社モビリティ事業戦略室の実証事業だ。藤沢市内で実績を積み上げ、全国展開を目指している。

創業者・松下幸之助氏の「水道哲学」で知られるパナソニックHDだが、2000年代に入ると中国や韓国メーカーに押され、家電製品の単品売りを基本としたビジネスモデルは競争力を喪失。長く続いた業績不振とリストラを経て、ビジネスモデル革新への模索から生まれたプロジェクトの1つが「ハックツ!」だ。パナソニックHDで移動分野に関する新事業を展開する同社モビリティ事業戦略室で、ひそかに誕生した。

「ハックツ!」は、ほかの社内ベンチャー事業とも毛色が違っている。

モビリティ事業戦略室では、遠隔監視による自律走行ロボットの実証事業や、商用EV(電気自動車)向けフリートマネジメントシステムの合弁設立などをすでに発表している。これらはパナソニックグループの技術やノウハウを活用し、比較的早期のビジネス展開を目指している。

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