どこまでドッキリ?「全力!脱力タイムズ」の裏側 「渡部復帰」「アンタッチャブル復活劇」はこうして実現した
東洋経済オンライン / 2024年6月21日 15時40分
昨年、お笑いコンビのアンジャッシュ渡部建氏がサプライズで地上波のテレビ復帰を果たし、大きな話題を呼んだ。その番組がバラエティ番組『全力!脱力タイムズ』(毎週金曜夜23時~、フジテレビ系。以下『脱力』)。
【写真】「全力!脱力タイムズ」製作総指揮を執る名物プロデューサー、名城ラリータ氏
メインキャスターである有田哲平(くりぃむしちゅー)のほか、そのときどきのゲストがどこに向かうのかさっぱり予測できない不思議なトークを繰り広げるこの番組。台本ありのコントなのか、ドッキリなのか。真剣なのか、ふざけているのか。じっくり見てもよくはわからない複雑な内容に、驚いたことのある人もいるのではないだろうか。
特番時代を含めると今年で実に放送開始10年を迎える『脱力』。過去何度も「神回」と呼ばれるような企画を生み出し、視聴者をざわつかせてきた。
いかにしてこの“特殊な番組”は生まれ、成立してきたのか。その謎に、迫ってみた。
視聴者を予想もしない方向に連れていく企画の数々
『脱力』のそもそもの趣旨は、国内外の最新ニュースや話題の論点について、ゲストと有識者たちが独自の視点を持ち寄って議論するというもの。ただし、そのどれもが思わず“脱力”するような切り口ばかりで、見る人たちは“いい意味で”予想もしない方向に連れ去られることになる。爆笑に巻き込まれながら。
なぜこんな番組になったのか。番組開始当初より、製作総指揮をとるテレビディレクター・名城ラリータ氏はこのように振り返る。
「最初は、ニッチな話題や動画や衝撃映像をスタジオで見て、脱線していく、という企画だったんです。僕は『SMAP×SMAP』のときにコントを撮っていたので、そこにコントの要素を入れたら面白そうだなと」(ラリータ氏)
苦戦していた開始当時を救った”ヒット企画”
そんな構想をもっていたラリータ氏のもとに、2人の強力なブレーンが加わる。人気放送作家の寺田智和氏と、カツオ氏だ。ラリータ氏は2人に相談しながら、番組の骨格を考えていったが、その中で現在に続く番組のカギを握る存在、番組MCがふと頭に思い浮かぶ。
「嗜好性なども含めて有田(哲平)さんが番組キャスターにぴったりだと考えました。一緒にお仕事をしたことがなかったので、一度会って話しあうことになり、有田さんに企画をプレゼンし、やっていただくことになったときは嬉しかったですね」(ラリータ氏)
こうして2014年の年末に特番が組まれ、翌2015年4月からは現在まで続く毎週金曜日23時枠のレギュラー番組に昇格。だがここは人気番組がひしめく時間帯。番組開始当初はなかなか視聴率が伸びず、当時の世帯視聴率で2~4%などと苦戦をしいられた。
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