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ジャカルタ鉄道新線「日本支援で建設」決定の裏側 JICA現地事務所長に聞く「東西線プロジェクト」

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 7時30分

――お金はまず国に入り、そこからDKIに入ってMRTJに流れ、工事を進めるということですね。返済するのは逆の流れで、DKIからお金を政府に返して、国が返済するという形ですか。

安井:(返済するのは)国だが、51%をDKIが払い、49%は国が払うという形だ。

――東西線のフェーズ1に対してもMRTJが工事を進め、運営していくということで間違いないですね。

安井:そういうことだ。

――今回の借款は一度に1406億9900万円というある程度大きな額ですが、今後の追加借款もあるのでしょうか?

安井:だいたい東西線フェーズ1全体で(事業費が)9000億円くらいで、今回の第一期はだいたい7500億円くらいだ。これには土地の補償費用など、借款の対象にならない部分も含まれている。そういった感じなので、おっしゃるとおり複数回の借款になる。それに加え、第一期についてはADB(アジア開発銀行)と協調融資になるので、その部分も円借款以外の部分になる。

もともとADBとは協調融資しましょうという話になっていた。想定として900億円から1000億円をADBから出してくる感じだ。円借款額は4000億~5000億円くらいになる。

――南北線のときより、距離が長いこともあると思いますが若干高い気がします。

安井:これは距離の影響だと思う。

英仏企業も関心を示していた東西線

――DGRの抵抗に加え、今回のL/A調印に至るまでの間にはイギリスやフランスの会社の名前が出てきたり、当時のジャカルタ特別州知事のアニス氏が実際にヨーロッパに行ったりとさまざまな動きがありました。インドネシア側、あるいはヨーロッパ側の思惑はどんなものだったのでしょうか。

安井:東西線フェーズ1は日本でやるというスタンスを示していたが、DKI外のフェーズ2については、そう明確には伝えていなかったということもある。当時のアニス知事にしてもブディ運輸大臣にしても、早くMRTを完成させたいという思いが強かったので、いろいろなドナーや企業に対して支援を求めたということが背景にある。

実際に彼らがヨーロッパに行ったのは2022年の半ばくらいで、ロンドンを訪問したり、イギリスの外相やUKEF(英国輸出信用保証局)、クロスレールインターナショナル(イギリスの鉄道コンサル)、あとはEIB(欧州投資銀行)などにも行ったりして東西線の話をした。それでその秋くらいからUKEFとEIBが関心を示し、ブディ大臣のところにもやってきたという状況だ。インドネシアで多額のインフラ事業の経験がないので、そういう意味で彼らとしても実績を作りたいという思いはあったのだろう。

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