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ジャカルタ鉄道新線「日本支援で建設」決定の裏側 JICA現地事務所長に聞く「東西線プロジェクト」

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 7時30分

同年の暮れ頃、UKEFが関心を示しているから話をしておいてくれとブディ大臣に言われ、それと前後してEIBからもアプローチを受けた。とはいえ、MRTはやっぱり日本の技術でやっていきたい。DKIからいきなり西ジャワ州やバンテン州に入った瞬間にヨーロッパ仕様の路線に乗り換えるというのは勘弁なので、基本的には日本の支援でやっていきたいという話を私のほうから内々にさせていただいた。それで彼らも日本、JICAにやってもらうという意識になっていると思う。

UKEFとEIBについては、とくにEIBはものすごく早く、なんとかしてL/Aを結ばなければならないという話をしてきたので、おい待て、と。まだ実施体制も固まっていないし時間がかかるという話をしたが、いずれにしても関心が高いということがわかった。放っておいてインドネシア側が彼らのほうになびいてしまうと面倒なので、そこは注意していかなければならないな、と。

UKEFは輸出信用機関なので彼ら(イギリス)のローカルコンテンツ縛りがあって、若干タイド的なところがある。そうすると、例えば狭軌はなかなかできないという話がある。イギリスの大使館に、さすがに(フェーズ1とフェーズ2が)同じシステムでないと乗客が不便だよねという話から理解してもらった。一方でUKEFとしては、日本のシステムを使うのは難しく、自分たちのコンテンツの割合を高めないといけないということがあり、諦めてもらったという経緯がある。

「対中国」だけでない鉄道プロジェクトの現場

<筆者解説>インドネシアの鉄道プロジェクトというと、どうしても日本対中国という図式ばかりがフォーカスされがちだが、これらの話からそれがいかにステレオタイプな見方かということがわかるだろう。国際開発の現場はそんなに単純なものではない。

ただ、他国もインドネシアの鉄道プロジェクトを優良案件として虎視眈々と狙っている一方で、彼らとただ争えばいいという簡単な話ではない。協調すべきところは協調するというのも国際開発の一面だ。安井所長が打った「次の一手」については稿を改めて紹介する。

高木 聡:アジアン鉄道ライター

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