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江戸時代の「相場の神様」本間宗久に学ぶこと 「連戦連勝の相場師」を超えた哲学者だった

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 9時30分

いや、筆者が酒田市を訪れたかったのは、「相場の神様」本間宗久(1724〜1803)の出身地だからである。江戸時代に米相場で連戦連勝を遂げ、大坂の堂島で「出羽の天狗」と称され、「酒田照る照る、堂島曇る、江戸の蔵前雨が降る」などと歌われた人物である。

なんでそんなことに関心を持ったのかといえば、投資を始めた若かりし頃に、手当たり次第に株の本を濫読した時期があった。その中でいちばん面白かったのが、米長邦雄著『米長流株に勝つ極意』(サンマーク出版) であったのだ。

当時のヨネさんは、すでに将棋界のトップクラスに位置していたのだが、とにかく才能がありすぎていろんな分野に手を出しまくり、本書では株式投資に入れ込んで、危うく信用取引で自宅を失いそうになったことまでが書かれている。

もちろん今では絶版だし、本は証券会社勤務の後輩にあげちゃったので手元にはない。仕方がないから記憶で書くのだが、ヨネさんは修業時代にこの本間宗久の教えを知り、「香車一枚強くなった」というのである。

以下は、手元にある『本間宗久相場三昧伝―相場道の極意』(投資レーダー) を基に、その教えとされるものをいくつかご紹介してみよう。

● 米商いは踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。
――何事もスタート時点が大事。焦っちゃ負け。

● 商い利運仕当たる時、先ず大概に致し、取り留むるものなり。その節一両日休むべし。
――儲かったときは、感謝していったんブレークを入れること。「休むも相場」。

● 十人が十人片寄る時は決してその裏来るものなり。
――リーマンショックも新型コロナショックも、そんな感じでしたなあ。

● 思い入れ違いは早仕舞い、行き付きを見るべし。
――ナンピン買いは悪手、相場に逆らっちゃいけません。

● 腹立ち売り、腹立ち買い、決してすべからず、大いに慎むべし
――競馬場でこれをやったら確実に負けます。

● もうはまだなり。まだはもうなり、ということあり。
――おそらくはいちばん有名な相場格言。

● 年中の内、両三度より外、商い致するところこれ無きものなり。
――相場というものは1年に2~3回の仕掛けのチャンスしかないものである。

江戸時代の「ウォーレン・バフェット」だった?

要は、今日に残る「相場格言」のうちかなりの部分が、本書を源流としている。そして本間宗久は、単に勝ちまくっただけの相場師ではなく、以下のような観察を残した哲学者でもあった。いやもう、「江戸時代のウォーレン・バフェットさん」と言っても、過言ではないのではないだろうか。

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