プーチン訪朝でもロ朝の軍事的重要性は薄い インフラ整備など経済協力も発展・拡大するか未知数
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 13時0分
1960年代末期の朝鮮半島では、まるで第2次朝鮮戦争と呼んでもいいほどの大きな挑発が行われました。当時、北朝鮮の特殊部隊はソウル市内に侵入して大統領府を攻撃する準備を完了させており、実行直前になって明るみになって撃退されました。
とはいえ、当時のソ連はそういった北朝鮮の挑発を支持する考えはまったくありませんでした。
北朝鮮が将来、韓国に侵攻する可能性はなくはありません。とはいえ、そうなってもロシアはこのような戦争に自動的に引き込まれるわけではないでしょう。そのときの状況によって決定を下すはずです。
他方北朝鮮が侵略された場合に、ロシアが参戦する可能性のほうがはるかに高い。しかしながら、今や核保有国である北朝鮮を攻撃する国が世界にあるでしょうか。
――今回、2国間で締結された「包括的戦略パートナーシップ条約」について、ロシア側から2000年に締結された「ロ朝友好善隣協力条約」の延長線上にあるとの発言がありました。この発言に同意されますか。
それは当然です。世界のほとんどの隣国は互いに基本条約を持っているものです。また友好・善隣条約とされる条約の大部分は無期限、あるいは自動的に継続されるようになっています。
武器支援・技術移転の正当化?
――ロシアと北朝鮮の最近の関係に対し、「ウクライナ侵攻で必要な弾薬やミサイルを北朝鮮が提供している」「北朝鮮はその見返りに軍事偵察衛星の開発に対しロシアから支援を受けている。核開発にも支援や技術提供を受けている」という見方が根強い。今回の条約はそういった活動を正当化するもの、という見方があります。
こういった質問に対する正解を、われわれはこれから先、数十年間は知りえないかもしれません。こういったことに関する資料は、かなりの極秘扱いとされるためです。
それでも、私はロシアが北朝鮮の核技術開発を支援する可能性は高くないと考えます。その基本的な理由は、ロシアは世界の核保有国の中の1つですが、核保有国としての特権を多く持っているからです。
しかし、核保有国が増えれば増えるほど、ロシアをはじめとする従来の核保有国の特権が持つ力は弱まります。ロシアは核の拡散を支持する国ではありません。
ICBM(大陸間弾道ミサイル)をはじめとする弾道ミサイルの技術移転は、核技術の移転よりも行われる可能性が少し高いかもしれません。でも、それほど可能性が高いものではありません。
それは、ロシアが北朝鮮に移転した技術が「ロシアと敵対関係にある第3国」へ流出する可能性を恐れており、北朝鮮がロシアの技術を利用して、その機能が同等レベルの武器を生産し、国際市場に販売する可能性があるためです。歴史を振り返ると、この2つのケースはその前例がなくはありません。
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