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プーチン訪朝でもロ朝の軍事的重要性は薄い インフラ整備など経済協力も発展・拡大するか未知数

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 13時0分

でも、ペスコフ報道官の発言であれ、プーチン大統領の『労働新聞』への寄稿内容であれ、そして今回締結された新たな条約の内容であれ、ロシアが今後、北朝鮮に対する制裁を積極的に守らないということを意味するものです。

ロシアが北朝鮮への制裁を遵守しないということは、北朝鮮制裁自体に致命的な打撃を与えます。

――プーチン大統領は道路や鉄道建設、農業、観光分野などの経済協力について言及しました。今後、そういった経済協力が実施・拡大されるでしょうか。こういったインフラ整備も含め、経済協力はより活発化するのでしょうか。

現段階で、ロ朝間の経済交流の先行きについて予測することは難しいですね。ただ、その展望は明るくはないでしょう。それは、北朝鮮の基本的な輸出品目の絶対多数は、ロシアにはまったく必要がないものが占めているためです。

北朝鮮のおもな輸出品目は、石炭などの鉱物資源、および水産物になりますが、これらはロシアにとって必要ではありません。

道路建設などは可能ですが、別の限界もあります。北朝鮮はなんとか生活できている国なので、必要な分をすぐに支払える能力はありません。一方、ロシア側が無償で道路や鉄道を建設する理由はこれといってありません。

もちろん例外はあります。ロシアは中国などアジア諸国との貿易量が急増していますが、ウラジオストクをはじめとするロシアの港は需要に対応できるほどの管理・運営能力がありません。そのため、今後、北朝鮮の港を利用する機会が生じれば大きな助けになります。

ロシアは今、北朝鮮北東部・羅津港で埠頭を1つ借りています。今後、埠頭の数カ所を借りることがあるかもしれません。これらの埠頭をロシアの鉄道と同じ広軌でロシアの鉄道ネットワークと連結できれば、ロシアで物資を早く受け取り、船積みし、目的地まで送ることができるようになるでしょう。こういったプロジェクトは実現可能性があります。

一方、地下資源の開発は、ロシアにとってそれほど魅力的ではありません。初期の投資規模が大きく、その利益も投資側にとって長い時間が必要となるためです。

投資した後、5~10年の間に政治・経済分野で大きな変化が生じる可能性もあります。それだけでなく、中国など外国企業の経験からわかるように、北朝鮮は約束を守らない傾向があります。その例として、中国・遼寧省の西洋集団が2012年に明らかにした鉱山投資事件が挙げられます。北朝鮮から一方的に契約を解除され、現地から退去させられた事件でした。

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