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僕が面接で「超優秀な学生」を見抜けなかった後悔 就活生に教わった「社会人として最強の能力」

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 8時0分

15年前、「単なるビッグマウス就活生だ」と断じた彼は、「社会人として最強の能力」を持っていました(撮影:今井康一)

経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』著者である田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。

「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会を作ることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」

今回は、ある就活生が教えてくれた「社会人として最強の能力」について解説してもらう。

「いま面接してきた学生、やばかったよ」

本当に優れた学生の魅力は、しょぼい面接官のモノサシでは測れない。

【写真で見る】「ダメ就活生」と思っていた彼。著書『きみのお金は誰のため』では、「堂本さん」というキャラのモデルになっていて、小説の中でも活躍してもらっている

ゴールドマン・サックスで面接官をしていた15年ほど前のことを思い出して、僕は反省している。社会人として最強の能力が何かを、ある学生から学んだのだ。

「いま面接してきた学生、やばかったよ」

同僚がニヤニヤしながら話かけてきたのは15年ほど前のこと。当時、僕らは採用活動にたずさわっていた。

その学生はどんな人物なのだろうかと興味津々だった。同僚は、その学生に統計の問題をたずねたらしい。

「2個のサイコロを振って出た目を足したとき、どの数字がいちばん出やすいですか?」

正解は7。統計学的に約20%の確率で7が出る。

その学生は自信満々に12と答えたという。12を出すには2個とも6が出ないといけないので、確率はわずか3%弱しかない。

ところが、その学生は、同僚の目を見て自信満々にこう言ったそうだ。

「僕はここぞというときなら100%の確率で6を出せます。信じてください」

思わず、「新田明男かよ」と言いたくなった。

マンガ『タッチ』に登場する強打者の新田は、ここぞというときにホームランを打つ。監督からも「わしが心底打ってほしいと願う場面での新田は10割なんだ」と恐れられていた。新田明男のような人物はそうそういない。いるのは、大口をたたいて印象を残そうとするビッグマウス系就活生だ。

僕らはトレーディング部門の採用活動をしていたため、統計の問題を"自信"で乗り越えようとする彼を面接で通すことはなかった。

もっとも大切なのは「仲間を作る」力

しかし、翌年の4月、その彼が会社にやってきた。すぐ隣の営業部で採用されたのだ。アメフト部出身で、マッチョな体格に全身こんがり焼けた肌、にこやかな顔立ちだが鋭い目つきが印象的だった。

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