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「デキがイマイチで無料」ラヲタ店主の異様な熱意 レギュラーメニューがない異色ラーメン店の背景

東洋経済オンライン / 2024年6月28日 11時0分

社会人になって一発目で失敗をし、途方に暮れる道理さん。せっかくだからラーメンの仕事は続けてみようと思い、次は有名店で修業することに決めた。

こうして入ったのが有名店「なんつッ亭」。濃厚な豚骨スープにマー油を合わせたパンチのある一杯で、神奈川県を代表する人気店としても知られる。入社して川崎店に配属になったが、本店や品川にあるラーメンエリア「品達」のお店も経験できた。

4年の修業でラーメン店としての基礎を勉強できた。一方で、秘伝のタレの作り方などは従業員にも非公開だったこともあり、核の部分が経験できなかったという課題が残った。

「ここで湧いてきたのが、『ラーメン店は現場だけなのか』という疑問です。ラーメンをやっている企業でも、大手であれば人事や経理などさまざまな部門があります。現場以外のラーメンの仕事にも携わりたいと、『一風堂』を運営する株式会社力の源カンパニーに入ることに決めました」(道理さん)

しかし、道理さんに与えられた仕事は現場の仕事だった。「なんつッ亭」で4年働いていた経験者は即戦力と見なされ、すぐに現場を任されることになった。思い描いたキャリアが描けず、逆にラーメンのレシピなどを開発する商品開発部ならできるのではないかと模索したが、余りに狭き門でなかなか椅子が空かない。

「ここで時間を費やすのであれば自分のお店をやってしまおうと思い、退職して、物件探しと味づくりを始めたんです。以前から薄らぼんやりと独立の絵は描いていたので、少しずつお金は貯めていました」(道理さん)

道理さんはラーメン店の横のつながりがなく、相談する相手もおらず、何も分からないまま神奈川の元住吉にある居抜き物件を契約した。

こうして2016年12月「ナルトもメンマもないけれど」はオープンした。店名は道理さんが大好きなユニコーンの曲名「車も電話もないけれど」から来ている。

オープンも「他にないものを作りたい」で大失敗

しかし、オープン当初から上手くはいかなかった。お客さんにラーメンの味が認められなかったのである。

「お客さんが帰られてどんぶりを見ると、よく残されていてショックを受けました。『旨いものを作っているつもりなのに、なんで残されるんだろう?』と疑問を抱き続ける毎日でした。今思えば、経験値がなかったんだと思っています。修業時代は完成されたラーメンを作っていたんだなと改めて思いました」(道理さん)

道理さんは何時間もかけて仕込みをし、これだけ時間をかけているんだから旨いに決まっていると、自分のラーメンの味を過信してしまっていたのである。当時は知り合いもいなかったので、自分のラーメンを試食してもらうこともできなかったのもあった。

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