日本の海外支援、「都市鉄道」こそ強みが生かせる ジャカルタ地下鉄が日本式を広める「先生」に
東洋経済オンライン / 2024年6月28日 7時30分
ADB(アジア開発銀行)は、自分たちは協調融資することになっているから入る必要はないということで、UKEF、EIB、AfD、KfWと覚書を結んで、MRT東西線については日本の技術でやっていきましょうと。JICA以外は高架の土木、そこに限定して協調融資していきましょう、そういった覚書を2023年の5月に結んだ。
オールジャパンから「コアジャパン」へ
――高架の土木というのは、フェーズ2より先のものですか。また、今回(フェーズ1)の借款、約1400億円はSTEPですが、これに高架の部分は入っていないのですね。
安井:フェーズ1も含めて。フェーズ1、2という書き方はしていない。(今回の約1400億円に)高架の部分は入っていない。今回の場合、高架の部分はADBが基本的にやることになる。
――すると、日本企業による建設は地下の部分だけですか。
安井:地下のところだけだ。高架工事の場合、STEP条件の30%の(日本産品)調達比率を維持するために、ローカルで調達できる分も日本から持ってこなくてはならなくなってしまう。フェーズ2は全線が高架になるので、これを含めてSTEPにすると、30%の日本調達比率を無理に大きくしなければならなくなる。
軌道とか、信号とか、システムなどは日本から持ってくるが、これに加えて土木もということになると、無理が生じてしまう。いずれにしてもSTEPでは高架土木については難しいところがある。そうすると、協調融資でうまくシェアできればわれわれとしてもありがたい。
――日本のインフラ輸出は「オールジャパン」から「コアジャパン」に軸を移しつつあるといいます。今後は円借款だけではなく協調融資のプロジェクトが増えるという意味合いもあるのでしょうか?
安井:あと、民間を入れられるのであれば、鉄道に限らず企業の投資やファイナンスというのも考えてもいいのかな、と。
ジャカルタ経由で「日本式」を各地に
――ジャカルタのみでなく、他の都市でもそういう傾向はあるのでしょうか。
安井:他のドナーが関心を持つようであれば、ぜひそのように展開できればいい。例えばスラバヤは今、KfWが在来線鉄道(KAI)の改良をやっている。一方で、ジャカルタと同じように南北線と東西線の2つのMRTも想定されていて、JICAがプレFS(実現可能性調査)を行っている。
南北線のほうが中心部まで入るので、われわれとしてはこちらが先ではないかと感じている。一方でルートが決まりきっていない。地下にするか地上にするか。地下だと金がかかるが、市の中心部なので地上にすると景観の問題もある。
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