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映画館にシニア呼び戻す「ベルモンド作品」の魅力 仕掛け人の江戸木純氏が語った企画の経緯

東洋経済オンライン / 2024年6月28日 14時30分

その後、「ベルモンド傑作選」も第2弾、第3弾と続き、そろそろ打ち止めかなと思っていたんですけど、急に『おかしなおかしな大冒険』が上映できることになって。これはやらなきゃまずいだろうということで、今回は「グランドフィナーレ」と銘打つことになりました。

当初は『おかしなおかしな大冒険』をメインに、過去作の同時上映でプログラムを組もうかと思ってたんですが、『ライオンと呼ばれた男』と『レ・ミゼラブル』も一緒に上映できることとなりました。これもずっとやりたいなと思っていて、できなかった作品だったんです。

権利を買うのが大変だった

ただこれも業界的な話になってしまうのですが、(『男と女』『白い恋人たち』で知られる名匠)クロード・ルルーシュの映画の権利を買うのは大変なんです。値段も高いですし、1本ではなく、まとめ買いでなくては交渉に応じてくれないというところもあるので、今まで買えなかった。

でもそれも今回、スタジオカナルに権利が移ることになったので、日本のJAIHOという会社が、ルルーシュの作品をまとめて買って、声をかけてくれたんです。今までは全部キングレコードの提供だったんですが、今回はJAIHOの提供作品も加わって、3社共同で実現した企画となりました。

本当にベルモンドって日本では不遇のスターなんですよね。世界的には有名だし、フランスでも“フランスの国宝”とまで言われてるトップスターなのに、日本では今やジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』くらいしか知られてない。だから『レ・ミゼラブル』なんて観たらみんなびっくりすると思うんです。

原作を現代に置き換えて、ベルモンドがジャン・バルジャンだけでなく3役もやっていて。ちゃんとルルーシュのカメラも回っているし、フランシス・レイの音楽もあって。

ホロコーストというテーマも込めたり、戦争映画やサイコ・スリラーの要素まで入っているという。映画を10本ぐらい観たような満足感がある作品なので。円熟味を増したベルモンドの魅力も格別です。

ベルモンドの代表作というと『リオの男』とか『カトマンズの男』あたりになると思うんですが、『ライオンと呼ばれた男』なんかはサーカス出身の男が、世界各地の雄大なロケーションを背景にドラマを展開する作品で、ベルモンド自身のセルフオマージュという側面もある。そういうのをルルーシュもわかってやっているんですよね。

『おかしなおかしな大冒険』も『007』のパロディーだし、残酷なシーンはサム・ペキンパーのパロディ。最後は大暴走して、ドリフのコントみたいになっています。

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