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「インド映画ブーム」火付け役語る"映画の目利き" ロッタちゃんも仕掛けた江戸木純氏の発掘力

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 16時0分

そういう作品を日本で公開したいと思ったきっかけとなったのが『ムトゥ 踊るマハラジャ』というインド映画でした。

今でこそインドがものすごい娯楽映画大国だということを知る人も多いと思うんですが、当時のインド映画って、日本ではサタジット・レイとか堅い映画しか公開されてなかったんです。

インドの人たちでさえ、どうやって海外に売っていいのかわかっていないレベルだった。自国だけで何とかなるから、海外マーケットに売りに来なかったんですよ。今は海外でも売れるのがわかっているので、マーケットにも来ていますけどね。

だから自分も『ムトゥ 踊るマハラジャ』を見つけたのは、たまたまプライベートで旅行に行ったシンガポールのビデオ屋さんでした。

知らない映画がズラーッとある中で、店番の女の子に「どういうのが人気あるの?」と聞いたときに、紹介してくれたのが『ムトゥ 踊るマハラジャ』。それで観てみたらめちゃくちゃ面白くて。

こういうのを日本でやれないかなと思って、知り合いの映画館でブッキングを担当している人たちに相談したんですけど、みんな「こんな長くて、無名な作品はできないよ」って言うんですね。

「でもこれ面白いんだけどなぁ」なんて言いながら、妻とビデオを毎日観ていて。それでも飽きなかったんで。やっぱりこれ観たい人がいるんじゃないのかなと思って、それで2年ぐらいかけて、権利元にたどり着いて。上映したら当たっちゃったという感じです。

――ミニシアターブームの時代にやっていた映画会社で、今でもまだ継続してやっているところも少なくなってきたように思うのですが。

みんなうまくいくと会社を大きくしようとするんですよ。とかくうまくいくと、どんどん値段の高い映画に手をつけたりして、それで赤字になって。会社を駄目にしちゃうことが多いんですけど、でもうちなんかは自分と妻しかいない会社なんで。やれる範囲でしかやってないし、大きくしていこうという気持ちもない。それでよかったんだと思うんです。

映画会社って基本的に10本やったら1本ぐらいしか当たらない世界なので。1本のヒットが他の9本をフォローする。昔はマイナスをビデオ化権でカバーできたけど、今はそれもできなくなった。この仕事はかなりリスクを伴うものなんです。

でもうちはそういうことはしないようにしてきたというか。自社で権利まで持っている作品もありますけど、最近は配給の委託の部分だけ受けたりとか、宣伝プロデュースという、企画宣伝の部分だけを受ける仕事とか。そういうふうにシフトしていっているので続けられているという感じですね。

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