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資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 9時30分

10年前と比べて、いかに高齢化社会が急速な勢いで進行しているかがわかるはずだ。つまり、これからの日本は爆発的に増えてしまった高齢者と共存する運命にあり、日本経済全体は無論のこと、我々自身もそれなりの準備をしていかなければならない。急速な高齢化社会の進行による影響をいくつかピックアップすると次のようになる。

①医療費の増大
②介護保険財源の逼迫
③労働力不足の深刻化
④人口急減による税収不足
⑤高齢者の貧困化

やはり、医療費や介護費といった社会保障費の負担増が大きな問題になることは明らかだ。たとえば、医療費は2020年度の支出で医療の個人サービスや予防接種・健康診断等などの費用として、約60兆5208億円のコストがかかっており、さらに、老齢年金や介護保険等の介護サービスにも約48兆7809億円のコストがかかっている(2021年度「社会保障費用統計」政策分野別社会支出より)。

今後、こうした高齢者のための社会保険料が大きく増加することは間違いない。政府は、2024年度の予算では112兆円の歳出額のうち、社会保障費として全体の3分の1に当たる37兆円を支出しているが、今後はこの金額がどんどん増えていくことになるはずだ。

一方で、政府は財政の再建にも取り組まなければならず、国民へのサービスを低下させざるを得なくなる。同時に、国民への負担を増加させていく政策をとるしかない。結局、適切な医療サービスや介護サービスを受けられない高齢者が急増することになる。

さらに、日本全体の影響も大きい。現在は70代でも働いている高齢者が多く、人手不足を補う人材となっている。さらに技術継承という面でも、2025年問題によって現在の高齢者の存在は大きい。しかし、後期高齢者が急増していく過程で、労働することが困難となる高齢者も少なくない。団塊世代が80代になる2030年には、人口減少による人手不足はさらに深刻化するはずだ。

具体的には、2025年には経営者が70歳以上の中小企業が約245万社にまで増加し、そのうち127万社では後継者が決まっていないと試算されている。その結果、約650万人の雇用が失われ、GDP(国内総生産)は22兆円減ることになる(日本財団ジャーナル 労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大――間近に迫る「2025年問題」とは? 2023年5月24日)。

地政学リスク、インフレ…豊かで穏やかな老後は可能?

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