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資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 9時30分

たとえば、高齢世帯の貯蓄額の目安として取り上げられていた「2000万円」という金額だが、2000万円あれば、公的年金を中心とした定期収入で、その不足分を補いつつ生活していけるのではないかと言われた。しかし、2000万円という貯蓄もインフレになれば、その価値は年々目減りしていく。実際に、2000万円の預金を金利ゼロで放置した場合、年3%インフレが20年続いた場合、その実質価値は次のように目減りしていく(AIなどを参考に算出)。

●3年後……1830万円
●5年後……1724万円
●10年後……1487万円
●20年後……1107万円

つまり、預金金利がまったくつかなかった場合、2000万円だったお金の価値は、実質的には1100万円の価値しかなくなってしまうことを意味する。仮に、預金金利がついたとしても、日銀が大量の国債を保有している現状では、金利を引き上げられないという現実がある。実際に、日銀が年2.8%に金利を引き上げた場合、日銀は「債務超過」に陥るという試算もある。

インフレも年3%とシミュレーションしたが、現在の国際情勢や資源価格の推移などを考えると、それで済むのか、という懸念がある。とりわけ、日本経済が高齢化社会の進行と海外からの労働力をあてにできない状況を考えると、慢性的な人手不足に悩まされることになり、経済成長があまり望めない。

加えて、低いエネルギー自給率と食料自給率を考えると、3%をはるかに超えるインフレが予想される。ある程度高いインフレ率を想定しておいたほうがよさそうだ。定年退職後のリタイア世代は、リスクのある資産運用からは距離を置きたくなるのもうなずけるが、超高齢化社会の進行で、公的年金や企業年金の給付額がどんどん増えていくことはほとんど期待できない。

言い換えれば、資産運用しない高齢者世代は、よほどの資産家は別だが、じり貧になっていく可能性が高いということだ。少なくとも、保有している資金を株式や投資信託などに投資して、自分の資産を守ることで、自分の老後の生活水準を守るしかないということだ。

積み立てを続けることで資産を防衛する?

では、具体的にどうすればいいのか。資産運用の知識はちょっと勉強したぐらいで簡単に身に付くものではない。金融マーケットには魔物が住むと言われており、とりわけ現在のような瞬時に情報が世界中に駆け回る環境では、そう簡単に運用で利益を出すことはできない。いまや、相手はAI(人工知能)の時代だ。

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