なぜ東京都知事選では政策が重要視されないのか 日本における「東京の真の役割」とは何なのか
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 21時30分
そもそもポスター掲示板なんていらない。顔と名前だけだからだ。ルッキズム批判をするなら、いっそのこと、選挙ポスターに顔写真を貼るのを禁止すべきだ。
名前もどうでもいい。知名度よりも中身だ。政策を掲示するには掲示板は適さない。だから、もともとポスター掲示板はいらないどころか、存在自体がおかしいのだ。その代わり、送られてくる投票用紙に冊子を同封することとして、候補者1人当たり1ページの政策提案を提出させることにする。その際は写真・イラストは禁止し、文字だけとする。これで、少しは政策で決める選挙になるはずだ。
「なんてすばらしい提案なんだ!小幡くん」とは、誰もほめてくれない、しかし。なぜか? それは、前述の「第3の事件」が示すように、ほとんど誰も政策には関心がないからだ。東京都知事選挙では政策の論点はないに等しいのだ。
実際、1995年以降、東京都知事は全員、いわゆるタレントや知名度が極めて高い候補が当選している。タレント出身であること自体悪いことではないが、これは政策よりも知名度が重要視されていることの表れであることは事実だ。
なぜ、東京都知事選挙では政策が重要視されないのか。それは、東京には問題がないからである。困っていないからである。
さすがにそれは言いすぎだが、東京以外の地域に比べれば圧倒的に困っていないし、政策を必要とする問題が少ないのだ。問題はもちろんあるし、困っている人も大勢いる。しかし、それは都知事による政治的な出番ではなく、細かい個々の問題を丁寧に解決していくことが重要であるのだ。
例えば、一応、都知事選の争点になるかもと言われている神宮外苑の再開発問題であるが、これはまったく重要でないどころか、そもそも争点の土俵に乗らないのではないか。
なぜなら、再開発は民間が事業主体で、東京都ではないからである。明治神宮という一組織が、今後の運営に関して資金を多少捻出する必要があるために、再開発のときに樹木を数百本伐採するというだけのことだ。
東京都は現在事業者に樹木保全策を求めているが、法的な拘束力はないとされる。太陽光パネル設置を無理に推進することで、日本中で何百万本もの樹木が伐採され、山が切り崩されているのはある意味無視しているのに、東京都心の木が数百本切られるとなると大騒ぎになる。
これでは、ポスター騒ぎと本質的にはあまり変わらず、騒ぐために騒いでいるようなものだ。かつ、東京の問題は日本の問題として盛り上がるからやっているのである。つまり、論点になる政策はないに等しい。
「少子化対策」よりは「子育て・若者支援」に
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