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ライオンズが整形外科クリニックを開院した事情 地域住民もビジターチームも利用できる

東洋経済オンライン / 2024年6月30日 11時30分

さらに、2番目の意義として「地域医療への貢献」があるという。

「埼玉西武ライオンズを支えるチームドクターや理学療法士がプロスポーツの現場で培った多くの知見や経験をプロのアスリートだけでなく地域の皆様へも提供することで、地域医療にも貢献できると考えています。

スポーツ界ではケガが原因で競技への復帰を断念したり、無理をしてさらに体を痛めてしまうような事例が見られます。特にお子さんの成長期に、まだ身体が出来上がっていないタイミングで無理な形でスポーツを続けると、その後の生活に影響が出ることもあります。そうした障害を防ぐことにも間接的に貢献できるのではないかと考えています」

クリニックの院長で、ライオンズのチームドクターの帝京大学医学部教授の増田裕也氏はこれまで整形外科の幅広い分野で研鑽を積んできたが、昨年からライオンズの選手を診るようになった。

「一般の方と違って、アスリートはデマンド(要求)のレベルが高いのが特徴です。私は以前から大学のスポーツ選手は診ていたのですが、大学の場合、絶対勝たないといけない試合に向けて、故障した選手を治療して何とか試合に間に合わせる、みたいなケースが多かったのですが、プロ野球はかなり違います。

試合関連でのケガで一番多いのは肉離れ系ですが、復帰までどれくらいかかるかが大事で、10日間かかるよとなると、代わりの選手を上げなきゃいけなくなる。そうした判断を求められるのが大きな違いですね」

選手はケガや違和感の訴え方がうまい

「今回のクリニックを作るうえで要望したのは『動線を分ける』ことですね、選手が診察を待っている一般の患者さんと顔を合わせることなく、全部回れるようにしなければいけないと考えました。それからできるだけ良い機材をそろえるということです。これまでは診断のために遠くまで行って画像を撮るようなこともあったのですが、診断までならここで全部できるようにしようと思っています。

昨年、選手を診断して感じたのは、選手はケガや故障をした部位の傷み、違和感の訴え方がうまいということですね。一般患者なら、患部の痛みが取れたら、ああ、これでいいやと帰ることが多いんです。なかにはまた痛みを訴えてくる人がいるんですが、選手は、痛みがないだけでなく次の日に思い切りプレーできないといけない。ちょっと動いてもらうと、あ、こっちは良くなったけど、こっちに張りがでてきましたとか、細かな指摘が出てきます。またケガをしたときに選手のほうから『この前と同じ箇所をやった感じです』などと言ってくれます。選手たちは日々やはり必死ですから、フィードバックのレベルも違ってきます。

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