池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路 2040年世界時価総額トップ50に日本は入れるか
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 16時0分
AIの台頭など、大きく社会が変革している今。この先16年後、2040年に家族や社会から必要とされる人であるため、私たちが知っておいた方がいいこととは? ジャーナリスト・池上彰氏の新著『池上彰の未来予測 After 2040』から一部を抜粋し、「未来を考えるための今の話」をお届けします。
35年前の時価総額ランキングを振り返る
1989年の「世界時価総額ランキングトップ50」では、1位の日本電信電話(NTT)を筆頭に、日本企業が多くを占めていました。
【画像で見る】1989年と2024年の「世界時価総額ランキングトップ50」を比較してみたら、こんなにも違う
一方2024年には、トヨタ自動車がかろうじて39位に入っているのみで、アメリカのGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの頭文字からとった呼称)が上位を独占しています。1位がApple、2位がMicrosoftです。
とはいえ1989年のランキングは、日本政府の規制で守られていたことで時価総額が高くなっていた日本企業も多く、偽りのランキングだったともいえます。
日本の銀行も12行がランキングに入っていますが、当時の銀行業務がそんなに効率よく行われていたわけではありません。銀行業に異業種からの参入ができないという、実に厳しい規制があったおかげで、既存の銀行が超過利潤を上げていたというだけのことです。
そのため「金融ビッグバン」という大規模な金融制度改革が始まった(1996年橋本内閣が提唱、1997年から取り組み開始)途端に、日本の銀行は次々と潰れたり、合併したりしていきました。
1989年には都市銀行が13行もありましたが、今はみずほ・三井住友・三菱UFJ・りそな銀行の4行というありさまです。
世界時価総額ランキング比較
東京電力と関西電力なども、電力自由化前の規制で、電力供給の地域独占をしていたことによって守られていました。
そういう意味で、実力でちゃんと1989年のランキングに入っていたのは、トヨタ自動車や新日本製鐵(現・日本製鉄)、それに日立製作所、松下電器産業(現・パナソニック)、東芝などの電機メーカーでした。
「ものづくり幻想」から脱却せよ
2040年に、「世界時価総額ランキングトップ50」に日本企業が入れるかというと、まず無理でしょう。
日本企業は高度経済成長期やバブル期など過去の成功体験に縛られ、未来に対応できていません。日本はものづくりに強みがあるのだという「ものづくり幻想」から、いまだ脱却できていないのです。
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