池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路 2040年世界時価総額トップ50に日本は入れるか
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 16時0分
実はすでに日本のアニメ業界は、中国の下請けになってしまっているのです。
8年くらい前までは、日本が人件費の安い中国にアニメ制作を発注していましたが、今は逆なのです。日本のアニメーターの給料は月給換算で35万円ほどですが、中国のアニメーターの月給は約50万円です。そのため、人件費の安い日本に発注が来るというわけです。
世界でも、中国発のオリジナルアニメが大人気で、内容のクオリティも高いと評価されています。人気作品の『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』や『魔道祖師』などは日本でも注目を集めました。
もちろん、日本にも優れたクリエイターやアニメーターはたくさんいますが、世界で売れる作品が中国からもどんどん生まれてきているのです。中国の人口は日本の10倍以上なわけですから、才能のあるクリエイターも日本の10倍以上はいる、と考えたほうがいいのです。
切り替えがうまくいった例がソニー
韓国も、K–POPや映画、ドラマなどが世界中で人気です。日本のコンテンツ制作が世界に打って出るには、まずはコンテンツ制作に携わる人たちの賃金を上げ、優秀な人がそういう仕事を選んでくれるようにしなければなりません。
コンテンツ制作に関わる人々がその仕事で生活できるようにしながら、世界に通用するヒット作を出して利益を上げる、という構造にしていくべきなのです。
2000年代から低迷していた電機メーカー・ソニーグループは、2021年3月期の決算で初めて純利益が1兆円を超え、見事に復活しました。
そのV字回復には、事業の選択と集中で映像系センサー技術に注力したこと、ゲーム機「PlayStation5(PS5)」の好調に加え、音楽や映画、アニメなどのコンテンツビジネスを強化し、業態転換を進めてきたことも寄与しました。映画『鬼滅の刃 無限列車編』や、音楽ユニット「YOASOBI」のヒットなどが印象的でした。
ものづくり(ハード)からコンテンツ(ソフト)へ、切り替えがうまくいった例がソニーなのです。
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池上 彰:ジャーナリスト
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