池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路 2040年世界時価総額トップ50に日本は入れるか
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 16時0分
しかしテスラの場合、スマホでテスラ車のソフトをアップデートすることで、バージョンアップすることができます。ディーラー(自動車販売会社)に、車を持って行く必要すらないのです。
さらにいえば、テスラにはディーラーすらありません。テスラ車の実物を見ることができる「テスラストア」は日本に10カ所(2024年5月現在)ありますが、車はスマホやパソコンでインターネット購入をするのです。500万円から1600万円する高額商品を、ネットで買うというわけです。
車体の色やインテリアなどのカスタムオーダーも、オンライン上で選ぶだけで完結します。
納車は、最寄りのサービスセンターやテスラストアなどに取りに行くか、配送を選べますが、配送の場合は10万円強の追加料金がかかります。広島の私の知人が最近テスラ車を購入したのですが、そのときはたまたま広島に在庫がなかったそうで、結局博多まで取りに行ったそうです。
こうしたEVが自動車の主流になっていくと、日本の自動車メーカーが、車体やモーターなどの部品を作る下請け企業になっていくのではないかと危惧されます。
すでに5、6年前から、AmazonやMicrosoft、Googleが自動運転の研究をしているというニュースがあり、「そのうち自動車を動かす心臓部分のソフトは全部GAFAMなどのIT企業が牛耳り、日本はハードの車体だけを作るようになるのでは」と予想されていましたが、その予測が実現しつつあります。
2040年に向け、日本の自動車メーカーはEVへの巻き返しを図らないといけません。
日本のアニメやマンガも中国の下請けに
ものづくり幻想は捨てるべきだと書きました。2040年に向けて、日本はもっとソフト面、コンテンツ作りなどで勝負していく必要があります。しかしソフト面でも、日本は厳しくなってきています。
たとえば、日本のマンガやアニメなどのカルチャーが世界で大人気だ、とマスコミはよく話題にします。
確かに人気はあり、欧米ではNARUTOやドラゴンボール、美少女戦士セーラームーンなどのコスプレをした若者が街を歩いていたりします。しかしそれも残念ながら、過去の成功体験になりつつあります。
実はすでに日本のアニメ業界は、中国の下請けになってしまっているのです。
8年くらい前までは、日本が人件費の安い中国にアニメ制作を発注していましたが、今は逆なのです。日本のアニメーターの給料は月給換算で35万円ほどですが、中国のアニメーターの月給は約50万円です。そのため、人件費の安い日本に発注が来るというわけです。
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