池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路 2040年世界時価総額トップ50に日本は入れるか
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 16時0分
しかし今や、ものづくりは「世界の工場」と呼ばれる中国が量的に圧倒していますし、さらに品質もどんどん向上しています。
かつての中国製品のイメージは「安かろう悪かろう」で、「メイド・イン・ジャパンの製品がいい」と国内外の人たちが考えていました。しかし最近は、中国製品の品質が急激に良くなったことで、テレビ番組で日本の若者にインタビューをすると「中国製品は安くて品質が良いと思う」と答えます。
また電気自動車(EV)も、中国のEV最大手「BYD(比亜迪)」が今、品質とスタイルの良さで圧倒的に売れています。民間調査会社によれば、2022年に世界で約186万台のEVを販売し、イーロン・マスク率いるテスラ(約131万台)を追い抜きました。
日本の自動車メーカーがガソリン車にこだわっている間に、世界ではEVの開発競争が激化し、ついにテスラだけでなく中国企業のBYDにもEV販売台数で追いつけなくなったというわけです。
日本の自動車メーカーは下請け企業になる
世界時価総額ランキング(2022年)で6位に入っているテスラは、EV以外のガソリン車も含めた自動車生産台数や販売台数という観点では、トヨタ自動車(トヨタ)よりはるかに少なくなっています。
2022年の販売台数は、テスラ131万台に対しトヨタが1048万台。トヨタのほうが圧倒的に世界1位です。
それなのにテスラのほうが時価総額が高いのは、地球温暖化防止のために世界で進む「脱炭素」や「EV革命」の流れに乗っていると市場に評価され、株価がどんどん上がっているからです。なおトヨタの2022年のEV販売台数は、たったの2万4466台です。
EU(欧州連合)はガソリン車の新車販売を2035年に全面禁止する(ただし環境に負荷がかからない合成燃料で走るエンジン車は2035年以降も認める)と発表しています。
日本も、2035年にはガソリン車の新車販売を禁止する(ただしハイブリッド車は認める)予定なので、そこから鑑みても、EVに強いテスラのほうがトヨタよりも株価が上がっていくのは必然の流れです。
トヨタはガソリン車や水素による燃料電池自動車にこだわりすぎて、電気自動車の開発競争に乗り遅れてしまっています。
さらにテスラは今、自動車メーカーというよりもIT企業の様相を呈しています。ガソリン車の場合、より性能のいい車に乗りたいと思えば、買い替えるか、可能なら部品を交換するか、という手段しかありませんでした。
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