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「奨学金500万円」それでも母が大学進学させた結果 「うちは中流よりは下」と思ってた子どものその後

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 11時30分

改めて説明すると、特任教授とは大学に一定期間の任期つきで雇用された教員のことを指す。専門性の高い分野で実務家として働いてきた者が、大学教員へと招聘された際にこう呼ばれる。

「大学の教員は公募のため、インターネットに採用情報が掲載されています。常任の教授職の場合は、教授会の投票で採用が決まりますが、特任教授はトップの学部長や大学院研究科長、もしくは病院長の判断ですんなりと決まることもあるのです」

経歴が生かせるセカンドキャリア

こうして、現在は関西の国立大学で「プロジェクトマネージャー」として、週に1回の講義と研究者と医者たちの研究成果を、薬や医療機器にするための支援を仕事にしている。赤井さんのこれまでの経歴が、十分に生かせるようなセカンドキャリアだろう。

「『これまでの僕の経験が少しでも役に立つのであれば!』という思いで、今は働いています。給料は半分以下になりましたが、それでも年収1000万はいただいているため、この額をもらえれば老後も安心して生活できますよね」

ちなみに、今回はZoom取材だったのだが、赤井さんは自身の別荘から応じてくれた。奨学金の返済で苦労していた時期があるとはいえ、いったいこれまでどれだけ稼いできたのだろうか……?

最大の目標も達成できて、今はとても幸せ

「外資をクビになる前の年で、1500万円はもらっていました。国内大手の製薬会社で同額に戻るには8年はかかります。その後、製薬会社を辞めるときは役員手当も付いていたため、年収は2000万円でした」

まるで、冒頭の牛肉のくだりは嘘だったかのように、大成功を収めた赤井さん。自身の努力の賜物としか言いようがないが、これも奨学金を借りて大学まで行ったおかげだと実感しているという。

「子どもの頃からは想像もできなかった暮らしですよね。『科学者になりたい』という小学生の頃の夢もかないました。なによりも『子どもたちに僕が経験してきたような、貧しい思いをさせたくない』という最大の目標も達成できたので、今はとても幸せです。

よくネットでは『奨学金で莫大な借金を背負って不幸になった』という記事を見かけますが、『そればかりではないんだよ!』と言いたくなります。僕のように『なんとかなった例』もあるので、こうした話がもっと広がるといいですね」

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。

千駄木 雄大:編集者/ライター

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