飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 11時0分
家族経営の中華料理店が弁当を販売し2400万円の追加収入。福岡のマクロビオティック専門店が首都圏に弁当販売で進出し800万円超、トマトや椎茸などを生産する岐阜県の農家は最大2300万円稼いだ―――。
【写真】中華弁当を製造販売し、雇用と売り上げを伸ばしている盛安商会の戴宇さん一家。
ここに示したのはいずれも、直売ショップ「わくわく広場」で商品を販売する出品者の1カ月分の販売実績だ。
わくわく広場を運営するタカヨシホールディングス(千葉県・千葉市)は、2021年に東証マザーズに上場し、流通総額は上場直前の約160億円から右肩上がりで、2023年9月期には約250億円に拡大している。
値付けや販売量、陳列は出品者に委ねる
イオンモールなどのショッピングセンターにテナントとして入るわくわく広場では、近隣の飲食店や農家がお弁当や野菜など、食に関するあらゆるものを販売する。搬入のタイミングや、販売量や値決め、陳列に至るまで、基本的にはすべて出品者に委ねられている。
すべてを任せるとなると、日によってはお店に並ぶ弁当や食材の数が少ない日が出てくるかもしれない。そんな疑問もふと沸いてくるが、毎日店にはずらりと商品が並び、出品者は着実に売り上げを伸ばしている。つくり手が商品販売で直面する数々の「障壁」を取り除き、自由度の高い売り場を提供するビジネスモデルは”流通革命”とも称される。わくわく広場のビジネスモデルに迫った。
愛知県豊田市内にある中華料理店「ふうみ屋」。店を経営する盛安商会は2021年、長引く外食需要の低迷に苦しんでいた。
代表の戴宇(サイ・ユウ)(57)さんは、中国の料理人として最高ランクの資格「高級技能」を持つ凄腕の料理人で、23年前に中国東北部の瀋陽から出稼ぎで日本に移り住んだ。
日本にやって来た戴さんは、妻の曹麗梅(ソウ・リーメイ)さんと8席の店を始める。手頃な価格で本格中華が味わえると、たちまち地元の人気店になり店を拡大、3店舗を構えた。
80~85席の各店の毎月の賃料は38万〜80万円。20人の従業員を雇用しながら、大型商業施設への出店を目標に堅実経営を心掛けてきた。
だが、そこに、新型コロナウイルス感染拡大が直撃した。全3店で月商2500万円程度あった売上高は3割減の状態が続き、初めて赤字に陥った。
店を減らすべきか、従業員をどう守っていくべきか。息子・博文さん(32)を交え連日家族会議を開いた。そんな2021年6月のある日、店に一本の電話がかかってきた。
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