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飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 11時0分

とはいえ、実際に「使える舞台」にしていくには、既存の商習慣や強固な流通形態の「壁」をいかに乗り越えていくか、試行錯誤の連続だったという。

「壁」の代表例は、同じショッピングセンターや近隣店にある食品スーパーやデパ地下との競合だ。

「実際に、『わくわく』に商品を出すなら、正規のルートでは扱えないと卸業者や組合に言われ、生産者の直売が制限される事例も少なくない」(髙品会長)

だが、出品者側も知恵を絞る。制約の外にある隣の地域の店に商品を出すなど、あの手この手で「わくわく広場」を自分たちのものにしようと喰らいついてくる。そんな生産者の意気込みに背中を押されるように、タカヨシは全国の空白地を埋める勢いで出店拡大に動いている。

もう1つの「壁」は、売り場内で起きる出品者同士の競争と競合だ。品質や味に対するクレームも評価も直接出品者の元に届けられ、毎日売れ行き比較の勝敗がつく。

人気の弁当の真横に、見た目やロゴをまねた割安な商品を置いて客を誘導する出品者や、納品に関するルールを順守しない出品者も現れたり、カレーやナンなど作りやすく売りやすいメニューを中心に陳列台が埋まったりする現象も出てきた。

創意工夫と自由な挑戦を促すつもりが、互いの足を引っ張りかねない、売り場全体の価値を損ねかねない状況に、運営者としてどう対処するのか。出品者の自立と自由を尊重するタカヨシにとって、改革手腕が今後ますます試されることになるだろう。

真似されるビジネスでも存続する理由

「このビジネスはきっとすぐに真似される」

店を始めた頃、髙品会長は周囲によくこう言われたというが、実際にこれだけの規模で直売所を展開している企業は珍しい。事業が存続し、成長し続けられるのには、仕組みのユニークさ以外にも理由があるだろう。

売り場には、出品者の土地柄や人柄が映し出され、一般的なスーパーでは出会えない多国籍の料理、珍しい旬の食材に出会える。「目利き」を発揮するのは小売企業でもバイヤーでも卸業者でもない、いわば”直接民主主義”の担い手である客だ。つくり手の参入障壁が低く、誰にでも開かれ、健全な競争や協調が求められる店は、民主的なあるべき社会の縮図のようでもある。

つくり手が主役になれる流通システムが求められるのは、万国に共通する。タカヨシが海外展開を意識したビジネスのブラッシュアップに動いた時、わくわく広場は「生産者のためのリアルのプラットフォーマー」として、今後さらなる経済成長が見込まれる東南アジア、そして世界へと、拡大していく可能性は十分にある。

座安 あきの:Polestar Communications社長

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