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飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 11時0分

自動車販売の営業職から、ガソリンスタンド、カー用品店、カラオケボックスなどの経営を経て2000年、自身が手掛けるホームセンターのスペースを有効活用する目的で直売所を設けたのが始まりだ。

わくわく広場は、自由で多彩な売り場がすぐに地元客の評判を集め、ほかの自社店舗内に売り場を増やしていった。

路面店からさらに生活圏に近いショッピングセンター内へ、出店の軸足を移したのは2009年ごろから。それを機に事業は軌道に乗り、現在31都道府県に186店(24年5月末現在)、登録事業者数は3万件を超えた。

出品者の自由度が高い一方で、運営はどう成り立っているのか。運営者のタカヨシの売り上げは、販売実績に対してかかる25%の手数料(生鮮・総菜等)になる。商業施設との賃貸契約からレジの対応、店内の清掃を担うことが表向きの役割だが、裏方にこそ、タカヨシ独自のビジネスモデルが機能している。

もっとも注力するのが、売り場を彩る出品者の開拓だ。全国各地で在宅勤務するコールセンターのスタッフ35人が、店舗周辺の飲食店などをリサーチし、弁当や総菜の出品を依頼する。先述の盛安商会はまさに、この電話を受け、弁当製造のきっかけをつかんだのだ。さらに、店舗近隣の農家を直接訪問して、青果などの納品を依頼する17人の専任スタッフがいる。

髙品会長自身、農家を営む家庭で育った。「家族経営で人手が足りず、日中農作業で電話に出られない」「安定的な供給の約束はできないが、直接販売できる安定した場所はほしい」。そんな農家の事情を考慮して設けたのが、対面で広報活動をする営業社員たちだという。

加えてもう1つ重要視しているのが「出品者のやる気を駆り立てる」(髙品会長)、システム開発とデータの提供だ。スマホやパソコン上でリアルタイムに店舗ごとの販売状況を確認することができ、生産量の調整や納品頻度、来店客数の分析や販路開拓の吟味に役立てることができる。

また、産直野菜や弁当類の開拓とは別に、全国各地の小規模メーカーがつくる希少な調味料類を発掘する事業「和シュラン」では、千葉にある物流センターで一括管理して各店舗に配送する仕組みを持ち、これらの組み合わせによって独特な産直チェーンが支えられている。

運営体制のすべてに「生産者にとって使い勝手のいい売り場にしたい」という髙品会長の理念が貫かれ、売り場には絶妙な規律と秩序が生まれている。

食品スーパーやデパ地下が競合に

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