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TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(中編) 歴史に刻まれた「チベット遺産」と異文化の影響

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 12時1分

部屋にはローソクしかないので、太陽が沈んでしまうと、何もできなくなる。しばらく休憩した後、2人で部屋の外にある木製の長椅子に座った。

星が輝く「天空の村」で家庭の味を堪能

外は完全に暗くなっていて、月の光に照らされた遠くの山々にかかる雲の合間から、綺麗な星がきらめいている。

村全体に街灯がないのと、標高が高いということもあって、人生で見たことがないくらい、星が近く、大きく感じた。

「雲がなかったら、すごく綺麗でしょうね」

彼女はしばらくの間、雲の隙間から見えるヒマラヤの天空に輝く美しい星を眺めていた。

「お腹が空いただろう。食事にするから、こっちの部屋においで」

男が部屋にやってきて、家族のだんらんに招いてくれた。ストーブのある食卓に行くと、70歳くらいの彼のお母さんがチャパティを捏ねている。

インド縦断の間、毎日のようにチャパティを食べてきたが、作るのを見るのは初めてだ。

全粒粉に塩と水を加えて生地を作り、それを小さく丸め、木製のめん棒で均等に伸ばしていく。それを鉄のフライパンに乗せて焼くと、お餅のように生地がふんわりと膨らみ、香ばしい匂いが漂う。

どうやら、出来たてのチャパティが完成したようだ。

「このカレーにつけて食べて。熱いから火傷しないようにね」 

「チャパティ、美味しそう」

カナさんは焼きたてのチャパティに釘付けだ。       

「あ、ダールカレーだ。俺、これが一番好きなんです」

ダールカレーの「ダール」とは豆のことで、インド全般で一般的に食べられている伝統的な料理の1つ。

豆類は栄養価が高く、ナコ村のような寒冷高地では重要なタンパク源となっているに違いない。

辺境の地で家庭的な宴は盛り上がった

インドに入国してから、ほぼ毎日のようにカレーを食べ続けたのだが、ダールカレーが一番美味しく感じられた。スパイスはそれほどきつくなく、消化にもいい。

豆のスープなので、味噌汁のように毎日食べても飽きがこないのだ。

「お母さん、最高っス!」

「本当に、とても美味しい」

お母さんの料理はとても質素だが、刺激が少なく、繊細で優しい味わいがした。そして、出来たてのチャパティがなんとも言えないくらいうまい。

「おかわりあるから、どんどん食べてね」

「うまいうまい」と次から次へとチャパティを頬張る2人を見て、親子そろって大笑いしていた。

それから4人でいろんな話をした。日本のこと、旅のこと、チベット文化のこと、そしてナコ村の生活など。宴は大いに盛り上がった。

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