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給与だけではない!外国人社員が離職しない秘訣 公私問わない関係づくりで安定した就労環境を

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時0分

モンさんはコンピューターを使って3次元のオブジェクトやモデルを設計する3D CADのエンジニアです。「彼女(=モンさん)と結婚して一緒に生活したい」とジン君は七重さんに相談したところ、福本社長が「ちょうど会社のCADオペレーターの1人が60歳近くになっているので、雇用しても人材的にいいだろう」との回答をもらいました。

モンさんは5年間働いた会社を退社するのは申し訳なく思いましたが、結婚も人生にとっては大切なのでと会社に伝え2024年2月に退職、翌3月から働き始めました。

「うちのCADオペレーターは2次元の設計しかできませんでしたが、モンさんは3次元もできる。仕事の幅が増えて受注も増えるかも」と福本社長は期待を膨らませます。

外国人従業員の家族や身内を日本に呼んで一緒に雇用することで雇用が安定化するのは、地方企業や中小企業を中心に最近よく見られる傾向です。

賃金面では大手企業や首都圏のほうが魅力ですが、首都圏では2人以上で住めるような物件の家賃を会社が負担するのは難しく、また特別なルールを設けることが難しい大手企業では実行しにくい状況です。

外国人人材にとっては自分が働いている職場なので安心して身内を呼べるだけでなく、家族など親しい関係の同国人と生活することで精神的安定が生まれます。

そして、身内を雇ってくれたことで会社への感謝の気持ちが芽生えます。それだけでなく、家族全員が別の地域に行って同時に就職を決めることは難しいため、就職した企業での定着率も上がるという結果が生まれているようです。

普段から仕事以外でも会社の人とつながることは、日本人同士だと敬遠されがちです。しかし、異国の地で働き生活するミャンマーの方にとっては、日本社会に溶け込むきっかけになります。

孤独を感じさせず、配慮すること

さらに、孤独を感じることがなく、また知らないことを教えてもらい、アドバイスももらえ、自分のことを大切にしてくれている、と感謝する場合が多いようです。

こういった関係があるからこそ、賃金格差での転職を防ぎ、さらに母国の身内も引き込み、さらなる従業員を確保し、会社自体にも相乗効果をもたらす結果を残しています。

最後に、今後についてジン君とソー君に聞いてみると、次のように答えました。

「もっと賃金が高い会社はありますし、人材派遣会社から転職しないかという誘いもありますが、責任ある仕事を任せてもらってやりがいがあるし、福本社長や七重さんをはじめこの会社の方々がいるから、私はまずは永住許可が出るまでの10年間ここで働き続け、その後の人生を考えたいと思っています」

中小企業だからこそできる外国人材の離職を防ぐ方法は、日本人従業員の離職を防ぎ定着率を高める方法にも通じるところがあるのではないでしょうか。

西垣 充:ジェイサット(J-SAT)代表

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