1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「商品にならないから始末」悪徳ブリーダーの手口 法改正後も犬猫を"平気で捨て、殺す"止まらず

東洋経済オンライン / 2024年7月7日 12時30分

ケース4:スプレー行動がひどい繁殖猫に暴行

知人ブリーダーを訪ねたところ、大きな怒鳴り声が聞こえるので猫舎を見にいくと、繁殖引退猫を暴行している最中だった。
叩いたり、蹴り上げたりしていたので、見かねて止めに入って理由を聞くと、「この金にならない雄猫がケージから脱走して俺の部屋に入り込み、部屋のあちこちにスプレーしたから頭にきてやった」と言った。
暴行された雄猫はぐったりしていたので、動物病院へ行くように勧めて帰宅した。翌日、その雄猫が死んだことを聞かされた。「役立たずなので、死んでよかった」と言っていた。(大阪府で第1種動物取扱業を営むNさん)

筆者自身、犬や猫と暮らしているので、このような話を耳にすると「なぜこんなひどいことができるのか」と理解に苦しみます。

2019年6月に改正動物愛護法が成立。それに伴い数値規制が定められました。飼育頭数や出産回数の制限、幼齢の犬猫の販売制限(56日規制)、虐待の罰則強化など、悪質なブリーダーやペットショップを抑制する目的で、明確な基準を設けたかたちです。

しかし、前述したような事件やトラブルは後を絶たず、「法改正しても何も変わっていない」と憤りの声も上がっています。

劣悪な飼育環境でも営業を続ける

法の運用は各自治体で格差があり、例えば、大きな事件があった自治体では、厳しい監視(立入検査等)や指導が行われています。また、飼育施設への抜き打ちの訪問をたびたび行い、違反があればそれが改善されるまで一時業務停止にしているところもあります。

一方で、立入検査をしていてもその監視や指導がゆるく、劣悪な飼育環境のままずるずると営業を続けるケースも多々あります。

実際、逮捕された男の飼育場は、以前から保健所に近隣住民からの通報があり、12回も立入検査を行っていたとのこと。「もっと早く逮捕できていれば、救える命もあったのに」と、対応を疑問視する声もあります。

大半の自治体が業務多忙、職員や獣医師の不足などを理由に、法の運用がなされていないのが実情です。まずは、「監視の目」を強化し、警察との連携も密にし、法を順守できない悪徳ブリーダーを排除していかなければ、何も変わりません。

男はペットオークションに子犬を卸していました。ペットオークションといえば、今年2月に環境省の一斉調査により、子犬や子猫の誕生日偽装が発覚したばかりです(関連記事:山中に違法な繁殖場「悪徳ブリーダー」偽装の手口)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください