1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分

(写真:© 2024 Bloomberg Finance LP)

本年11月アメリカ大統領選挙での対決が予想される民主党バイデン大統領と共和党トランプ前大統領。多くの政策で反目し、対決姿勢を露わにする両者が、なぜ揃ってイスラエルを手厚く支援してきたのか。

共同通信エルサレム、ニューヨーク支局長などを歴任した、アメリカ・イスラエル関係と宗教の研究者・船津靖氏は、その原因が両国の「特別な関係」にあると指摘します。

この「特別な関係」がどのようにもたらされ、国際政治にどのような影響を与えているのか。船津氏の新刊『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』より、一部抜粋、再構成してお届けします。

目には十の目、聖地の紛争

アメリカはなぜ、「アメリカ第一主義」のトランプ前大統領も、リベラル派のバイデン大統領も、イスラエルをこれほど支援するのでしょうか?

【画像でわかる】「聖地の紛争」は超大国アメリカと深い関わりがある

2023年10月7日、地中海沿岸のパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスが、イスラエル人や外国人約1200人を無差別に殺害しました。イスラエルのネタニヤフ右派政権は「ハマス壊滅」を掲げてガザ地区を猛攻し、パレスチナ人の犠牲者数は千、万単位で増えていきました。大規模テロへの報復としても「目には目」どころか「目には十の目」でも足りない凄まじさです。

この日を境に、ガザ、ハマス、イスラエルという名前を聴かない日はないほどです。それまで国際ニュースの焦点はロシアのウクライナ侵略でしたが、様変わりしました。

パレスチナ紛争はなぜこれほど世界の注目を集めるのでしょう? それには、紛争の舞台がユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの一神教の聖地であることが大きく影響しています。「聖地の紛争」は、超大国アメリカと深い関わりがあります。

リベラルも保守も超党派で支援

バイデン米大統領は、大規模テロ直後の10月半ばイスラエルへ飛び、動揺するイスラエル国民に寄り添いました。大量の武器弾薬を供与し、近海に空母を2隻派遣しました。けれども、ハマスの戦闘員に加え、女性や子供多数を含む死傷者数が恐ろしい勢いで増えるにつれ、バイデンは、リベラルとされる与党民主党の「進歩派」「左派」「アラブ系」の人々から強い批判を受け始めました。

米大統領の親イスラエル外交では前任者のトランプが突出していました。トランプは米大使館の聖地エルサレム移転を強行しました。これは国連安保理決議を無視する国際法違反でした。「トランプの共和党の支持基盤が保守的なキリスト教福音派(ふくいんは)だから」といった説明を聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください