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トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分

アメリカは超大国です。同盟国イスラエルの盛衰、命運をアメリカが握っているように見えます。イスラエルはアメリカの51番目の州と呼ばれることもあります。両国は自他共に認める緊密な同盟国ですが、両国間に正式な安全保障条約はありません。

イスラエルは第三次中東戦争までアメリカとの安保条約締結を望んでいました。アメリカのほうが慎重でした。圧倒的な人口と石油資源を擁(よう)するアラブ・イスラム諸国とイスラエルの武力紛争に巻き込まれることを、懸念していました。中東でのアメリカの国益を損ねる戦略的「負債」を抱え込むのでは、と心配していました。

イスラエルが第三次中東戦争で大勝利を収めると、両国の方針が変化します。イスラエルは広大な地域を占領し、国防上のクッション「戦略的深奥(しんおう)性」を獲得しました。卓越した戦闘能力を世界に見せつけました。アメリカはイスラエルが戦略的「資産」になるのでは、と評価し始めます。イスラエルは、王族や独裁者が支配する国が大半の中東で、リベラル・デモクラシーの価値も共有します。米ソの国益が衝突する中東で、アメリカニズムの旗振り役をやってくれそうです。

一方、「国家存亡の危機」を乗り切り、思いがけず中東の軍事大国となったイスラエルには別の計算が働きました。対米安保条約のメリットより、占領地での軍の行動の自由をアメリカから制約されるデメリットのほうが気になり始めました。弱者から強者になると、考え方が急変することがあるのは、個人も国家も変わりません。第三次中東戦争のころ核兵器という究極の防衛手段を手にしたこともイスラエルの観方を変えたのでしょう。

船津 靖:広島修道大学教授

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