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「入ることがゴール」と若者が考えてしまう理由 自分が選択した人生をいかに肯定できるか

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 13時0分

舟津:「欲望」という言葉でうまく表現していただき、ありがとうございます。基本的に人は欲望のとおりに動くもので、欲望は最も強靭な原動力だと思っています。だけど、いい大学や会社に入るというのは、およそ社会に設定された欲望なんですよね。「あなたたちはこの大学/会社に入らないと幸せになれないですよ」っていう。特に受験の場合は、親御さんの欲望も大きいと思います。

加えて、受験産業の方々は合否にしかインセンティブを設定しないので、入学までしか面倒みない。それは当たり前です。かくして社会が設定した欲望は、入学時点で充足される。ところが受験生当人にとっては、入った後のほうが絶対に大事なはずなんです。

鳥羽:そのとおりです。学生たちもそれに気づかず、周りの期待に応えているだけなんです。

お金を払った瞬間しかビジネスは面倒をみない

舟津:楽しさを見つけるっていうのは、自分の欲望を満たすように生きることであって、実はそれなりに経験や訓練を積まないと見えてこないもののはず。「これいいな」と思えるものを発見するのは簡単ではないんです。

そういう意味でテーマパークっていうのは、聞けば聞くほど欲望の解放がうまいと感じます。授業の題材にしたとき、USJやディズニーランドの魅力を語って止まらない学生の多さに驚きました。学生たちは教科書の数千円は躊躇しますが、USJの年パスにはすっとお金を出す。

鳥羽:そうなんですか。USJってそんなに面白いんだ。行ってみたくなりました(笑)。

舟津:ただ、それは高いお金を出した一瞬しか得られないものです。だから、人生をテーマパークのように楽しむことはできない。やっぱりテーマパークほどビジネス依存ではないものを探せるようになってほしいなとは思います。ビジネスは、お金を払った瞬間しか面倒をみないのが当たり前なんだから。

鳥羽:そうですよね。もう高校生くらいになれば、そうした経営的なネタバレは知っていたほうがいいような気がします。私も塾に来ている高校生には、「基本的に教育産業っていうのは不安を売る産業だから」というのを平気で言っています。「だって、大学受験が心配だから来てるわけだけど、実はそういう将来への不安ってある程度作られたものなんだよ」と。

でも、それを聞いて子どもたちのやる気がなくなるかっていうと、全然そうじゃない。むしろ自分なりの納得の仕方を見つけようとする。だから、高校生くらいの年齢にもなれば、そのからくりは伝えていいと思う。ビジネスのノリを真実と受け取って不幸になる子もいると思うので。

入っただけで無条件に幸せになれるわけではない

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