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奈良公園の「シカの糞」観察続けた60歳彼の半生 糞虫に魅せられ45年、退職金で博物館を設立

東洋経済オンライン / 2024年7月21日 12時30分

糞虫好きが高じて、博物館まで作ってしまった“フン虫王子”の中村圭一さん。彼はどんな人生を歩んできたのか(写真:著者撮影)

前回の記事では、「観光名所として有名な奈良公園には1300頭ものシカがいるにもかかわらず、フンだらけにならない理由」について取り上げた。

【画像14枚】中村さんが運営する「ならまち糞虫館」や、貴重な糞虫のコレクション(※食事中の方はご注意)

その答えは「フンを食べるコガネムシの仲間」である糞虫の働きによってフンが分解され、土に還る手助けをしているからだということを、ならまち糞虫館の館長・中村圭一(なかむら・けいいち)さんに教えていただいた。

そこで今回は、中村さんがいかにして糞虫に魅せられ、そしてならまち糞虫館を設立するに至ったのか。そんな中村さんの人生をのぞかせていただいた。

寝ても覚めても糞虫観察の日々

小さい頃から生き物が好きだった中村さん。糞虫に限らず生き物全般が好きであり、カブトムシやザリガニを採りに行くのはもちろん、デパートに行った際も、生き物やペットコーナーにずっといるような少年だった。

【画像14枚】糞虫に魅せられ45年、退職金で博物館まで作った中村さん。昆虫大好き少年の半生とは? 博物館の気になる中身も公開!

「世の昆虫少年の例に漏れず、夜寝る前は母が『ファーブル昆虫記』を読んでくれていました。でも当時は本よりも、とにかく生きた虫が大好きでした。餌を食べるかと思ったら食べなかったりと、予測不能な動きをするところが面白いんですよね。

生駒山に昆虫採集に連れて行ってくれた父の信条は『好きなことを一生懸命やればいい』というもので、その言葉通りに過ごしていました」

そんな中村さんに大きな変化が訪れたのは、中学生のときのこと。

夏休みの宿題で、友達が提出した見事な昆虫標本を見て衝撃を受けた。綺麗な瑠璃色をした昆虫に魅了され、それがルリセンチコガネという糞虫であることを知った。そしてなんとこの魅力的な糞虫は、家の近くの奈良公園にたくさん生息しているという。

それ以降、昆虫標本を作成した友達が師匠ともいうべき存在となり、2人で奈良公園に行っては糞虫を採集し続けた。

「糞虫って図鑑にも載ってないことが多かったですし、当時は飼育方法が確立されていませんでした。なので、どういう種類の糞虫がどのようなフンを好むのかなど、試行錯誤するのが面白かったんです」

師匠とともに生き物好きの同級生を集めて昆虫同好会を結成。それぞれに贔屓の昆虫がいたが、奈良公園に行っては糞虫を観察して、さまざまな環境で実験も行った。

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