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冴えない「パナソニック」は何が欠けているのか 「笛吹けども踊らず」に陥ってしまっている背景

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 13時0分

松下幸之助氏なら今の状態をどう変えるだろうか(写真:ヒラオカスタジオ)

6月24日に開催されたパナソニックホールディングスの定時株主総会では、1300円台にまで落ち込んでしまった低株価が指摘された。当日のPBR(株価純資産倍率)は0.67倍。その後も大きな変化はなく、東京証券取引所が「経営改善を求める企業」の基準とする1倍を割った状態が1年以上続いている。

中期経営計画の達成は困難な状況

6月27日、日立製作所の時価総額が16兆9420億円に達し、ソニーグループ(同16兆8938億円)を9年ぶりに上回り話題になったが、パナソニックは3兆2322億円にとどまっている。

同社の2024年3月期決算では、純利益が前期比67.2%増の4439億円と過去最高を更新した。液晶ディスプレー子会社の特別清算によるところが大きい。「一時的要因もあるので、最高益を達成した高揚感はない。冷静に見ている」(梅田博和・副社長執行役員・グループCFO)。

楠見雄規・社長兼グループCEOも5月17日の経営方針説明会で「期待に応えられなかった」と深謝した。中期目標(2022~2024年度)としていた累積営業利益1.5兆円、自己資本利益率(ROE)10%は達成できそうにない。

パナソニックはEV用蓄電池とサプライチェーン管理システム、ヨーロッパ市場向け(省エネ型温水給湯)ヒートポンプ暖房機の3分野へ重点的に投資する経営戦略を展開しているが、車載用蓄電池や、ヨーロッパのヒートポンプ暖房機の市況が大きく変化し計画倒れになっている。

「笛吹けども踊らず」という状態が続いたとき、経営者の不満は表情に表れる。楠見氏に筆者が「最近、疲れているように見えますが」と尋ねると、楠見氏は「競合相手に負けていても、赤字でなければいいといった感覚になっている」と嘆いた。松下幸之助氏が提唱した、「1人ひとりが経営者」とする「社員稼業」の精神は、絵に描いた餅になっているようだ。

確かに、50代の管理職から楠見氏の不安を裏付けるような声を聞いた。

「私が入社して以来、とてもいい局面になった記憶がないので、それでも一応利益を出し続けられていることは、これはこれで強みなのかもしれない、とも思える時もあります」

経営トップに盲従している状態にないか

業績が思わしくないとき、とかく経営トップは組織文化に原因があると発言しがちである。だが、組織文化は一朝一夕では変わらない。スーツ姿の男性が大勢を占めていた会社で、トップが主導し服装をカジュアルにし、女性管理職、役員の数を恣意的に増やしたとしても、組織の深層では変わらぬ空気が漂っていることが往々にしてある。そのような澱んだ空気が組織行動を歪めかねない。

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