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あの「葛西臨海公園」がオシャレに変貌した事情 公園再生事業で独走するゼットンの強み

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 9時0分

葛西臨海公園のバーベキュー場「ソラミド バーベキュー」(写真:ゼットン提供)

これまでの外食企業の成長は、基本的に新規店舗の出店ありきだった。しかし、人口が減少し、人々の嗜好が多様化している中、際限なく店舗数を増やしていく手法に限界があるのも事実だ。

【写真】葛西臨海公園で人気を集めるバーベキュー場

こうした中で、公園というこれまで比較的手つかずだった場所に付加価値を付けるという新たなビジネスで実績を上げ始めているのが、「アロハテーブル」などのカフェを手がけるゼットンである。未踏の領域で成功している秘訣はどこにあるのか。

カフェに加え、バーベキュー、ウェディングも

緑の芝生と、その先に広がる東京湾の青い海ーー。そのコントラストを見た瞬間、心をつかまれるのと同時に、来園する人を喜ばすアイデアが次々と沸いてきた。

依頼があったカフェだけでなく、無料休憩所やバーベキュー場、芝生エリアまで手がけることができたら公園のイメージを刷新し、街に新しい価値を加えることができるのではないだろうか。ゼットンの鈴木伸典社長はそう考え、東京都に逆提案を行ったうえで、葛西臨海公園の再開発事業を引き受ける決断を下す。それが飲食店運営を主とする従来のビジネスモデルからの脱却の瞬間でもあった。

現在は「公園再生事業」と位置付けられ、同社のアイデンティティになるほどの大きな存在感を放つ。葛西臨海公園ではカフェに加えて、バーベキュー場や結婚式のサービスも提供している。こうした事業の収益は年々増えており、鈴木社長によると、2024年1月期第2四半期の売上高と利益は、前年同期比で1.5倍近くに成長した。

「外食企業が公園再生事業を手がけていると聞くと、園内でカフェを運営しているだけだと思われる人もいるかもしれません。しかし、当社では、Park-PFIという法制度を最大限に活用し、公園というパブリックスペースが街の価値向上につながるような提案を行っています」(鈴木社長)

そのキーとなるのが、歴史や風景といった公園ならではものだ。ゼットンではそれを探し出して、その魅力を体感できるようなサービスを提供している。上記の通り、海を臨む葛西臨海公園ではバーベキューやウェディングなどを展開した結果、家族連れやカップルの来園が増えただけでなく、街自体のイメージ向上にもつながり始めている。

利益率の高い備品レンタルに目を付けた

だが、鈴木社長自体はもともと公園の開発事業に関心をもっていたわけではなかった。2018年ごろ、次の成長に向けた戦略を練りながら、当時日本でも話題になり始めていた持続可能性(サステナビリティ)について自社のビジョンとも重なる部分があったため学びを深めていく中で、ビジネスとして成立する方法を模索していた中で葛西臨海公園からカフェ誘致のオファーがあった。

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