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嬉々として「サービス残業」する部活顧問の深刻 「やりがい搾取」だけじゃない部活顧問の問題点

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 13時30分

(写真:筆者撮影)

教員の「やりがい搾取」が大きくクローズアップされている。公立学校の教員は、1972年に施行された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」によって、「生徒実習・学校行事・職員会議・非常災害等」の4つの臨時または緊急時を除いて、残業を命じることができない。

【画像】嬉々としてサービス残業を語る指導者もいる

しかし実際には部活など他の業務による超過勤務が発生するので、月給の4%を「教職調整額」として上乗せして支払うということになっている。

多くの教員は部活顧問に任じられている。活動内容によっては、土曜日曜、祝日、夏季、冬季休暇も含めて実質的な「残業」が発生するが、上記の法律によって残業代は一切支払われない。いくら残業しようとも4%の上乗せがあるだけだ。

教員の多くは部活指導に「やりがい」を感じてはいるが、ほとんどが「タダ働き」。これを「やりがい搾取」と言う。

「やりがい搾取」だけではない問題

近年、教員採用試験の倍率が年々低下しているのは、大学生にとって「やりがい搾取」が多発する「教員」という仕事が敬遠されているからではないかと言われている。さらに公立だけでなく私学でも「やりがい搾取」的な状況にある学校が多い。

こうしたこともあって、文部科学省は「中学部活の外部委託」を推進する方針を打ち出した。また並行して高校でも「部活のあり方」を見直す動きが出てきている。

しかしながら筆者は、この問題は行政が制度を変えれば解決するような問題ではないのではないか、と思っている。

「やりがい搾取」が問題化する直前の7年ほど前、筆者は文化、スポーツの部活を集中的に取材する機会を得た。ある媒体に「うちの高校の自慢の部活」を紹介するためだ。各校が推薦した全国の文化、スポーツ系の高校部活を取材して回ったのだ。

取材したほぼすべての部活の指導者、顧問は「休みは年に10日あるかないか」だと話した。「元旦とお盆以外はずっと部活指導」「早く帰宅するのは中間と期末テストの期間だけ、あとはサービス残業」などと話す。不満げな表情ではなく、自慢げでさえあった。

そして、必ず「家族の理解があるので」と付け加えるのが常だった。

さらに「女房とは新婚旅行以外に旅行に行ったことはない」とか「新婚旅行の途中で、選手の試合を見に行った」「部活を優先するために子供の運動会には行ったことがない」などの話をあたかも「武勇伝」であるかのように言うのだった。

嬉々としてサービス残業を語る指導者

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