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嬉々として「サービス残業」する部活顧問の深刻 「やりがい搾取」だけじゃない部活顧問の問題点

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 13時30分

取材をする際には、高校の職員室に挨拶に行く。在席中であれば校長や教頭に挨拶をすることもあるが、「私も部活顧問として年中子供たちのために頑張っていましてね、そういう先生が今も、何人もいるのは、わが校の誇りだと思っています」「こうした先生方は、まさに高校教師の鑑ですね」などという話を聞くこともしばしばだった。

「やりがい搾取」は、学校が強制的に先生に押し付けたのではなく、教員が「頼まれもしないのに」自主的に「搾取されにいった」という一面もあったのだ。

しかし、そういう「熱中部活」は、高校部活全体の一部だ。

同じ学校でも、顧問が形式上立ち会うだけで、生徒たちが主体的に活動している部活もある。そういう部活では、顧問は生徒がケガをしないか、トラブルが起きないかを見守るのが主な仕事だ。そして時間が来たら「早く帰りなさい」と生徒に帰宅を促す。受験勉強のために、3年生になれば引退することも多い。

別個の生き方の教員が共存している

多くの学校では「熱中部活」と「普通の部活」が混在している。

私学には「強化指定クラブ」と「一般クラブ」を明確に分けているところも多い。野球やサッカーなどは、有望選手を別枠で入学させる私学も多い。「文武両道」ではなく「文武別道」と言われる形だ。

「熱中部活」は、「普通の部活」の顧問からすれば、付き合いきれないし、まさに「やりがい搾取」のように見えている。職員室には、別個の考え方、生き方の教員が共存していることが多いのだ。

「やりがい搾取」で、筆者が問題だと思うのは、搾取が「やりがい」だけで済まない事例が散見されるからだ。

ある公立高校の部活顧問は、校舎の横にある小さな建物に筆者を案内した。中には様々なトレーニング機器がおかれてあって、生徒たちがトレーニングをしていた。

「ここにあるトレーニング機器は、私がボーナスで少しずつ買いそろえたものです。ボーナスシーズンになると、生徒とカタログを見て、『今度はこの機器を買おう』などと話し合って購入します。私学に負けない練習環境になっているんですよ」

筆者は思わず先生の顔を見て「でも公立だから、数年で転勤になりますよね?」と聞くと、「いや、その時は次の学校でも同じことをするだけですよ」と涼しい顔で言った。

教員の「趣味」や「道楽」になっている部活

確認したわけではないが、選手が遠征に使うマイクロバスを自腹で買った先生もいるという。これは本当にやりすぎだと思うが、部活顧問の先生が生徒のためにドリンクを買ったり、用具の補充をするなどの「自腹を切る」のは、多くの学校で容認されている。経費として請求しても「予算がない」と言われることも多いという。

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