1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

嬉々として「サービス残業」する部活顧問の深刻 「やりがい搾取」だけじゃない部活顧問の問題点

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 13時30分

筆者は息苦しさを感じたが、多くの先生は「でも、授業の準備をしっかりして、学校行事の仕事もして、そのうえで部活の面倒も見るんだから、どうしたって休みなんか取れないじゃないか」と言った。残業代は当然出ない。これこそが「やりがい搾取」なのだが、先生方はそれを嬉々として話すのだ。

このように書くと、これらの部活指導者は「熱血」で「スパルタ」「オラオラ」の、「昭和の指導者」であるかのような印象を受けるかもしれないが、意外なことにそういう指導者は当時でも少なかった。

体育会系であれば、最新のトレーニング法を学び、新しい機器もそろえて選手に無理な負荷がかからないように練習させる。「マッサージ」の仕方についても学んでいる。また「コーチング」を専門に学んでいる指導者も多く、選手に笑顔で接し、彼らの能力を伸ばそうとする指導者が多かった。

ある演劇部の指導者は、教師になってから芸術大学の演劇コースに入り直し、演劇のメソッドを学び直したと話した。進歩的で、生徒のことを第一に考える優秀な指導者が大半だったという印象だ。

生徒が授業を終えて部活に出てくる前に、部活顧問の先生たちは、用具をセットし、今日の予定を確認し、選手を待ち受ける。そして練習が終わると、部員たちの相談に個別で応じたあとに、翌日の準備をする。顧問の先生たちは、生徒が全員帰宅してから、最後に帰宅する。

休日は朝から学校に詰めて、練習を指導する。対外試合や公演があるときには、マイクロバスを運転して遠征する。夏休みには、生徒が学校に泊まり込んで「合宿」を行うことも多い。顧問の先生は、文字通り365日、24時間、生徒に接して指導し、励まし、濃厚な人間関係を築いていく。

受け継がれていく「熱中顧問」の系譜

筆者はそうした指導者の一人に「なぜ、そこまでして部活に心血を注ぐのですか?」と聞いたことがある。

その先生は、まっすぐ筆者の目を見て「私も、そういう高校生活を送ったからです」と言った。

「私の恩師の先生も、365日、生徒のことを考えて指導してくださった。親身になって相談に応じてくださったし、進路についても指導してくださった。

私は当時から、大学で教員免許を取って高校教師になり、部活顧問として恩師のように、子供たちのために全力を尽くす教員になることを考えていました。今、その夢がかなって、最高にうれしいです」

この手の話も何人かから聞いた。そういう形で「熱中顧問」の系譜は受け継がれていくのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください