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社会課題に取り組む「やったふり」からの脱却方法 経済価値と社会価値の両立を目指すことは可能

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 17時0分

(写真:metamorworks/PIXTA)

昨今、社会に対する価値提供を意味する「ソーシャルインパクト」が注目され、企業には、従来追求してきた「経済価値」と「社会価値」を両立する経営が求められている。企業は、売上高や利益を追求しつつ、ステークホルダーと関係構築をし、社会課題の解決に取り組んでいかなければならない。

野村総合研究所・鎌倉投信は経済価値と社会価値の両立に取り組む企業にヒアリングを重ねる中で、経営者の社会価値に対する見方が事業を推進する上での「守り」の視点から、新たな価値創出への入口を見出す「攻め」の視点へと変化していると捉えている。

特に、設立間もないスタートアップ企業の中には、事業の目的設定の段階から社会価値と経済価値創出を掲げる「ソーシャル」志向の起業家も増えており、着実に事業成長を遂げている企業も存在する。

本稿ではこうした経済価値と社会価値の両立を目指す経営を「インパクト経営」と捉え、これを読者が自社で実施するための方法論として紹介する。

「やったふり」インパクト経営とは

タイトルにもなっている「やったふり」について、ここで補足したい。特に上場企業であれば、いまや経済指標だけでなく、自社の環境や人権に対する取り組みを開示する統合報告書を始め、社会価値の向上に取り組んでいる企業は多い。

一方で、社会価値を経営の「守り」の側面でのみ捉え、コストをかけて新たな価値の創出に繋がらないと捉えている経営者も多い。市場の要求に従って、「インパクト的」経営を行っているものの、実態は、経済価値と社会価値を割り切る考え方と言える。これを本稿では、やらざるを得ないが、前向きでない、という意味で、「やったふり」と呼んでいる。

「やったふり」を脱却し、インパクトを創出するためにはどうすればよいか。新たな事業やサービスを創出する場面での取り組みに対する考え方を説明したい。

上の図は経済価値と社会価値の繋げ、事業を創出するまでのポイントを整理したものである。以下、四つのステップに沿って説明する。

Step ①「独自の課題設定と新たな価値の提案」

新たに事業に取り組む上での最初のステップは課題設定である。これは自社として何の社会課題に着目し、どのような価値を提供するかを考えるステップである。「やったふり」に陥らないためには一般的な社会課題ではなく、自社ならではの視点や仮説を持つことが重要である。

例えば、人口減少と言えばどの業界にも共通する社会課題と言えるが、一段と解像度を上げるためには自社の事業の背後にある負の側面に着目することが重要である。自動車メーカーにとっての交通事故や、飲料メーカーにとってのアルコール中毒の問題は、事業の背後にある社会課題の例として挙げられる。その上で、自社だけでは新たな提供価値に限界のある点はスタートアップ等、外部のプレイヤーと協業して進める方法も有力な選択肢である。

「やったふり」にならない、持続的な取り組み

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