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社会課題に取り組む「やったふり」からの脱却方法 経済価値と社会価値の両立を目指すことは可能

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 17時0分

また、スタートアップの場合、国の政策やメガトレンド等と結び付けることで、インパクトを増幅させる視点も重要である。例えば、株式会社Schooはオンライン教育プラットフォームを提供している。近年、同社の成長に繋がっている要因して、経済産業省の推進する「リスキリング」政策があり、従業員のリスキリングを推進する必要に迫られる企業への導入が進んでいる点が存在する。

インパクト経営が目指す姿

Step ④「社会の変化・事業の持続的成長」

このステップは最終ステップであり、消費者や社会の価値観が変容し、事業の成長に持続的に寄与する状態が作れている段階に相当する。インパクト経営が目指す姿であり、最初に設定していた社会課題への取り組みが進んだことにより、新たな社会課題が生まれる段階でもある。

新たな社会課題を当該事業の枠組みの中で解決するか、別事業として新たに立ち上げるかは経営者の判断に委ねられる。その意味でこの四つのステップは循環構造にあり、循環を通じて、社会価値と経済価値が向上するスパイラル構造になると言える。

Step③および④まで到達しているケースとして、株式会社マザーハウスを取り上げたい。

マザーハウスは途上国から世界に通用するファッションブランドを生み出すことを目指し、立ち上げられたブランドである。アジアの途上国6カ国でバッグ・ジェリーを製造し、国内外の多くの店舗で販売している。

代表取締役副社長の山崎大祐氏は事業成長を支える背景の一つとして、経営トップ自らが社会的価値と経済的価値の両方が重要であることを語る点であると指摘する。例えば同社がバッグの製造を行うバングラデシュの人が望んでいることはオーダーを継続することであり、オーダーの継続が雇用の創出を支えて貧困の課題解決というインパクト創出に繋がると説明する。

また、山崎氏は市場を捉える際にマイノリティの視点を取り入れることが結果的に市場の真のニーズを捉え、経済的価値を生む点も重要であると指摘する。例えばマザーハウスはブラインドサッカー協会とパックパック等を共同開発し、上市している。視覚障がいの者の視点に徹底的に寄り添って作られたプロダクトは結果的にデザイン、使いやすさが一般の消費者にも高く評価され、同社のラインナップの中でも高い売り上げを上げている。

加えて、山崎氏は創業以来18年にわたり、同社が各メディアに取り上げられ、取り組みを発信している点について、マイノリティに光を当てたい思いを発信することで、自社の思いやストーリーを従業員や顧客に共有し、それぞれがプロダクトに込められた「物語」を語ることで、インパクトの増幅や社会の変容に繋がるとしている。

投資の時間軸は経営者の価値基準による判断

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