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社会課題に取り組む「やったふり」からの脱却方法 経済価値と社会価値の両立を目指すことは可能

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 17時0分

Step ②「経済価値と社会価値の両立モデルの構築」

次に経済価値と社会価値が両立された事業モデルを考える。このステップは経済価値と社会価値を両立する「結節点」を見つけるためのステップで、「やったふり」にならない、持続的な取り組みにしていく上で基礎となる重要なステップである。具体的なポイントとして、経済価値だけでなく、社会価値を取り入れるために、時間と学習の視点を取り入れる点が挙げられる。

多くの企業では事業モデル構築の段階で、市場規模と自社の取り分を計算したシェアを重視してモデルの構築を行う。一方で、社会価値との両立モデルでは、社会課題を解決することで、自社にとってどのような学習効果があり、事業成長に繋がるか、を検討軸として重視する。目先に計算できる経済価値を追って、社会価値を後付けするのではなく、「社会価値」が中長期的に自社の事業成長に寄与する視点を持つ点が重要である。

「結節点」を見出した例として株式会社丸井グループは知的障がいのある作家とライセンス契約を結びビジネスを展開する株式会社ヘラルボニーと組み、「ヘラルボニーカード」を提供している。

丸井グループ共創投資部の武藤氏は、フィンテックと小売との掛け算で利益とインパクトを創出できる共創先を探索する中で、ピッチイベントでヘラルボニーと出会った。その出会いをきっかけに、カード利用金額に応じた還元ポイントの一部(0.1%)を知的障がいのある作家に還元する仕組みを実現した。この仕組みにより、社会貢献に関心のあるZ世代の若年層やアートに興味があり創作活動を支援したいユーザーの獲得に成功している(2024年6月時点で現在、会員数2万人以上)。

ポイントの還元率が業界の競争軸とされる中で、同社は色々な人の「好きを応援するカード」を提供することを事業戦略の一つとし、障がいのある作家に対する寄付という社会価値を事業の中で実現している点で、モデルケースと言える。

Step ③「経済価値と社会価値の相互強化・自律成長」

このステップは前ステップで構築した「結節点」を活かしつつ、点ではなく、面としてインパクトを創出する段階に相当する。大企業の場合、最初のステップで定義をした自社ならではの視点で既存の事業や市場と繋げることで面的に展開する考え方を取りうる。経済価値の出口を当該事業単体ではなく、複数事業でもたらすことで既存事業を推進する上での組織の強みが発揮され、自律成長へと移行する点が期待される。

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