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4割が月経異常、アスリート「婦人科問題」の深刻 10代の減量で「骨折リスク」を生涯抱えることも

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 9時0分

女性アスリートが抱える婦人科問題は認知が広がってきているものの、まだまだ正しい情報がすべての指導者に伝わっているわけではないという(写真:metamoworks/PIXTA)

月経中の腰痛や頭痛がつらい、月経前にイライラや体調不良が生じるなどの、いわゆる月経痛やPMS(月経前症候群)に苦しむ女性は少なくない。

【グラフを見る】競技レベルに限らず、約4割の女性アスリートが無月経や月経不順であることがわかった

トップアスリートの世界では近年、こうした婦人科問題がパフォーマンスに影響を与えることから適切なケアが行われるようになってきているようだ。

一方、「まだまだ正しい情報が選手や指導者に伝わっていないと感じることもある」と、ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター(以下、JISS)婦人科医の能瀬さやか氏は言う。いったいどういうことなのだろうか。

「月経が来なくなって一人前」と言う指導者もいた

適度な運動は心身によい影響を与えるものだが、ハードなトレーニングを行う女性アスリートには、「女性アスリートの三主徴」と呼ばれる健康リスクがあることがわかっている。それは、「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」という課題だ。一見、バラバラに見えるこの3つの症状は密接に関連している。

激しいトレーニングを続けているとエネルギー摂取量(食事量)をエネルギー消費量(運動量)が上回り、エネルギー不足に陥ることがある。この状態が続くと、低体重になるほか、脳(視床下部)からのホルモン分泌が抑制されて無月経となる。長期間の無月経によって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下すると、骨密度が下がってしまい、若年層でも骨粗鬆症につながることがある。

能瀬氏は、こうした三主徴の実態を明らかにしてきた。例えば、JISSで2011年から2012年にかけて女性トップ選手683名を対象にした調査では、約4割が無月経や月経不順を抱えていることがわかったという。

「無月経の原因はさまざまですが、アスリートで多く見られる原因として、運動量に対し食事量が不足している、あるいは食事量の制限によって身体がエネルギー不足の状態になることだと考えられます。無月経は骨粗鬆症や疲労骨折のリスクを高めるほか、将来的な妊娠・出産が難しくなる可能性も。しかし、当時は無月経のリスクがあまり理解されておらず、『月経が来なくなって一人前だ』と選手に言う指導者もいました」

無月経以上に多いのが、PMS(月経前症候群)や月経困難症(月経中の日常生活に支障をきたす症状)、過多月経といった月経随伴症状の悩みだという。

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