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生成AIへの取り組みでアップルの歯切れが悪い訳 協業するオープンAIとの間にも微妙な距離感

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 17時0分

生成AIの開発競争が過熱していく中、最先端のプロダクトやサービスをフォローするにはどうすればいいのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)

テクノロジーの新潮流を正確にとらえていなければ、ビジネスの存続が困難になる時代。最先端のプロダクトやサービスをフォローするには、どうすればいいのでしょうか? 世界のテック企業を対象としたベンチャー投資家である山本康正氏による著書『2035年に生き残る企業、消える企業』を一部抜粋・再構成のうえお届けします。

大きな驚きはなかった2024年の「Google I/O」

具体的なビッグテックの開発者会議の例として、2024年5月14日に行われたGoogle I/Oを挙げましょう。

2024年のGoogle I/Oをひと言で要約するならば、「オープンAI・マイクロソフト連合に追い付くべく対抗策を発表した生成AIイベント」といって差し支えないでしょう。

グーグルが開発した生成AI「ジェミニ(Gemini)」をさらに進化させ、Gメール、グーグルドキュメント、グーグルスプレッドシートなどの既存のアプリと統合させることで、パフォーマンスの向上をアピール。

ユニークなところでは、ジェミニを利用する有料プランの「Gemini Advanced」に旅行計画機能が導入予定であることが発表されました。これは、旅行の日程、行き先、人数、属性、フライトやホテルなどの情報を入力することで、生成AIが旅行プランを提案してくれるサービスです。

ただ、既存のアプリとの統合は、当然、予想されていたことですし、すでに発表されていた機能を使えば、旅行の計画ができるようになっても、さほど驚きはありません。

キーワード入力だけでなく、画像や音声などでも検索ができる「マルチモーダル検索」も、オープンAIが2023年にリリースした「GPT-4」ですでに実用化されていたことを考えれば、驚きのあるものではありませんでした。

マルチモーダルAIはすでに業界の主流であり、今後もこの領域が進化していくと予想されます。

2024年のGoogle I/Oには、そこまでの目新しさは感じられず、想像の範囲内だった、というのが個人的な感想です。加速する生成AIの開発競争の中で、ユーザー数がすでに多く、期待値も高いために、少しでもエラーが起こると批判が殺到してしまうというジレンマと苦闘する姿がうかがえました。

また、発表の多くが、あらかじめ用意されていたと思われる映像で行われたのに対して、引っかかりを覚えました。

リアルタイムのデモではなく、映像だと、本当にその映像と同じように動作するのかどうか、わかりません。

歯切れが悪かったアップルの「WWDC24」

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