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生成AIへの取り組みでアップルの歯切れが悪い訳 協業するオープンAIとの間にも微妙な距離感

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 17時0分

グーグルとは対照的に驚きの多い発表でしたが、オープンAIにも懸念はあります。GPT-4oを発表した翌日に、同社の共同創業者であり、チーフサイエンティストでもあった、イリヤ・サツキバー氏が退任することが発表されたのです。

サツキバー氏は、ChatGPT開発の重要人物であると同時に、高度化する生成AIの危険性に備えて安全対策をするチームのトップでもあり、さらに、2023年のアルトマンCEOの解任騒動劇の関係者でもありました。

新製品リリースの翌日に安全対策チームのトップが退社するというタイミングを考えると、もしかすると、開発競争の激化に伴い、オープンAIにおいて安全対策が軽視されている状況が反映されているのかもしれないとも考えられます。

サツキバー氏の他にも、生成AIの性能向上ばかりに注力する方針に批判的だった幹部が相次いで退社したことも明らかにされています。

サツキバー氏と共同でAIの制御をリードしていた、グーグルの関連会社であるディープマインド出身のヤン・ライケ氏は、安全確保が後回しとなり「限界に達した」として退社し、同じくオープンAIから独立した、安全性をより重視するAIスタートアップ、アンソロピックに参画すると発表しています。

スタートアップにとって、事業成長を目指すことは宿命です。

各社が矢継ぎ早に新製品や性能アップを発表する激流の中にあって、安全対策に力を割くことは、一面では、成長へのブレーキにもつながりかねません。

しかも、オープンAIには、グーグルの広告事業のような、生成AI以外の収益の柱が十分にありません。

こうした事情が絡み合って、社内にジレンマや困難があることは想像できます。サツキバー氏らの退任を、その象徴ととらえることもできるでしょう。

このように、人の動向に目を凝らすことで見えてくる風景もあります。退社や解任のような大きな動きだけではなく、開発者会議のように、トップが公の場に現れるイベントも同じです。

大々的なイベントの基調講演でCEOが語るのは当然として、それ以外に誰が登壇して語るのか? そんなワンシーンからも見えてくることがあります。

新製品・新機能だけに目を奪われるのではなく、その背後でどのような人材の移動や台頭が起きているのかにも目を配っておきましょう。

PCに焦点を当てるマイクロソフトの戦略

2024年5月に開催されたオープンAIの発表会とGoogle I/Oのわずか1週間後には、マイクロソフトも生成AI向けの新たなPCを開発したことを発表しています。

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