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実は日本が世界3位「アルピーヌ」したたかな策 小規模ブランドがF1やル・マンに参戦するワケ

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時0分

しかし、1990年代になるとアルピーヌとしての活動を縮小し、ルノーのイメージを強めるブランド名の「ルノー・スポール(R.S.)」としての動きを強めていく。

モータースポーツ活動とともに、ルノー車をベースとした「ルーテシアR.S.」や「メガーヌR.S.」といった高性能モデルの開発を手掛けるようになっていった。ちなみに好事家が多い日本は、これらR.S.モデルの人気が高く、世界有数のマーケットであったという。

そんな中、2016年にルノーは、アルピーヌブランドの復活計画を発表。その後、アルピーヌ専用モデルである新世代のA110が市販され、再びルノー・スポールからアルピーヌへと看板を掛け替えられて、今に至っている。

アルピーヌがレースに参戦する理由

アルピーヌは、レース活動に積極的だ。今回のル・マン24時間レースが含まれるWEC(FIA 世界耐久選手権)のほか、F1にも参戦している。

WECがその名の通り長時間・長距離を、3人のドライバーが交代しながら走る耐久レースであるのに対し、F1は1人のドライバーが約2時間のレースを走るスプリントレース。どちらも世界最高峰レースだが、性格は大きく異なる。

実は、現時点でその両方(WECはいくつかあるクラスのうちの最上位クラス)に参戦しているブランドは、アルピーヌとフェラーリしかない。そう聞くと、アルピーヌのレースにかける力がわかるだろう。

「レース活動をするために市販車を売って儲ける」と公言したのはフェラーリの創始者、エンツォ・フェラーリだが、アルピーヌの目的はなんであろうか。

「アルピーヌはなぜレースに参戦するのか?」と筆者がフィリップ・クリーフCEOに質問すると、その答えは明確だった。

「知名度を高めるため」だというのだ。そして「我々アルピーヌの知名度は、まだ高くない」と続けた。

「1車種だけ」からの製品戦略

明確である一方で、疑問も生じる。現時点での市販車は、A110の1車種のみだ。極めて小規模なブランドに「そこまで知名度は必要なのか?」と。

実は、そのヒントは1年前に出されていた。アルピーヌが発表した将来の商品計画で、2030年までになんと7車種ものモデルを市販することを明らかにしたのだ。

そこには、A110のようにルノーと車体を共用しないモデルもあるし、それと並行してルノー・スポール時代のR.S.のような、ルノー車をベースに高性能化したスポーツモデルも含まれる。アルピーヌは今後、規模を大きく広げる予定なのである。

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