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実は日本が世界3位「アルピーヌ」したたかな策 小規模ブランドがF1やル・マンに参戦するワケ

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時0分

そういった視点に立てば、「知名度が足りていない」というCEOの説明も理解できる。1車種のみだったアルピーヌが7車種を手掛けることになれば、単純に考えても7倍の人にアルピーヌを知ってもらい、アルピーヌの車両のオーナーになってもらう必要があるのだから。

つまり、世界最高峰レースへの挑戦は、年間販売台数が5000台にも満たない「ニッチなスポーツカー1車種のため」と考えると計算が合わない。しかし、これから大幅な規模拡大を狙うブランドの認知度アップを狙っていると考えれば、合点がいくのだ。

そんなアルピーヌは、今年のル・マン24時間レース開催中に、その舞台となるサルト・サーキットで新車を発表した。A110に続く新生アルピーヌの2車種目、「A290」である。

こちらはアルピーヌの完全オリジナルとなるA110とは異なり、ルノーの市販車をベースとした“高性能バージョン”。

ベースとなるのは、新世代ルノー「5(サンク)」。コンパクトな5ドアハッチバックのEV(BEV)モデルだ。A290は、簡潔に言ってしまえばその高性能モデルである。

張り出しを増したブリスターフェンダーなどでスタイリングを仕上げ、最大110kW(150ps)のサンクに対し、A290の高性能仕様は160kW(218ps)まで出力を高めたモーターを搭載。

「軽さを重視する。10psのパワーアップと10㎏の軽量化なら、後者をとる」と同社CEOが説明するポリシーに従い、1479㎏というEVとしては軽い車両重量も魅力と言っていい。開発者によると、ハンドリングは「ショートホイールベースならではのシャープな走り」が楽しめ、「操縦性のベンチマークはA110」であるという。

一方でパワートレインまで含めたフィーリングは、「ガソリンエンジンの延長ではなく、EV時代のスポーツモデルとして作り上げた。パワートレインはリニアな制御を心掛けた」とする。ちなみに駆動方式はFF(前輪駆動)だ。

まるでラリーカーのような内外装

内外装は、アルピーヌ仕様とするにあたってルノー版のサンクに対し、大幅なモデファイが加えられる。たとえば、フロントはA110と同じく左右のヘッドランプに対して車体の中央側に補助灯を組み込んで4灯化。その補助灯に「×」が刻まれているのは、かつてのラリー車のテーピングをイメージしたものだという。

ブリスターフェンダーの張り出しはサンクに対して片側約3cmで、専用設計となるリヤドアパネルに至っては、エンジンを後席部分に積んでミッドシップ化したかつての名車「5ターボ」の空気導入口を連想させる形状に。かつての5ターボを知るファンには、たまらないスタイリングだろう。

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