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CEOなのにクビ「ChatGPTの親」が仕掛けた猛反撃 持ち前の人心掌握術でクーデターを4日で制圧

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 19時0分

ChatGPTを運営するOpenAIのサム・アルトマンCEO(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

2023年11月、ChatGPTを開発したOpenAIを率いるサム・アルトマンCEOが突如解任されるという社内クーデターが起こった。結局、アルトマンはすぐにCEOに復帰するが、この騒動はなぜ起きたのか?

そこにはOpenAIという企業の特殊性とアルトマンの人間性が絡んだ原因があった。知られざる真相をお伝えする。

(小林雅一『イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマン』から一部を抜粋して再構成しています)

クビを言い渡され最初に出た一言

2023年11月17日の金曜日、OpenAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)はフォーミュラ1(F1)のグランプリを観戦するためラスベガスの高級ホテルに滞在していた。

その前日の晩、彼は同社のチーフ・サイエンティストで取締役の一人でもあるイリア・スツケヴァーから「明日の正午に話をしたい」というメールを受け取っていた。

これに応じて正午頃にノート・パソコンからビデオ会議に参加すると、そこには何故かスツケヴァーだけでなく(彼を含む)4人の取締役が既に顔を揃そろえていた。アルトマンは「何かがおかしい」と感じた。

嫌な予感は的中し、彼はスツケヴァーから「サム、君はアウトだ。クビになるんだ」と告げられた。

一瞬、我が耳を疑ったアルトマンだが、とっさに「僕に手伝える事はあるかな?(How can I help?)」と尋ねていた。

これに対しスツケヴァーら4人の取締役は「暫定CEO(に就任する人物)を支援してくれ」と頼んだ。アルトマンは了承したという。

以上はニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米国メディアの報道に基づくが、解雇を言い渡された直後の彼の反応には驚かされる(ちょっと可笑しく感じられさえする)。恐らく動揺した気持ちを隠すためであろうが、普通の人物なら中々こんなことは言えないだろう。

後知恵になるが、既にこの時点でアルトマンの方が一枚上手という印象を受ける。「羊の皮を被った狼」さながら、口先では解雇を受け入れて恭順の意を示しつつ、アルトマンは間もなく(水面下で)自らの人脈を生かして猛反撃に出る。

そして僅か4日後には見事OpenAIのCEOに返り咲くと同時に、自分を排除しようとした取締役らを逆に排除してしまうのである。

本稿をお読みの方も、既にこれら解任劇(社内クーデター)の経緯はよくご存じかもしれない。が、そこにはアルトマンの人物像を知る上で興味深いエピソードも幾つか含まれている。

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