日本超えた?多民族国家シンガポールの鉄道事情 空港の商業施設は人気観光スポット、列車も走る
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 7時30分
振り返ると、シンガポールにMRTが開業した1987年当時、アジアでは日本がもっとも鉄道が発達し、世界に先駆けて高速鉄道や自動改札機などが普及していたので、「やっとシンガポールにも地下鉄ができた」と思ったものである。しかし、現在、日本とシンガポールを比べると、とくにソフト面ではシンガポールがかなり先を進んでいるように感じる。
空港のターミナル間を結ぶ鉄道は一見の価値あり
世界でも「ここだけ」といえるユニークな列車もある。それがチャンギ国際空港のターミナル間を運行する自動運転の列車だ(日本技術による)。チャンギ国際空港には、ターミナル1のすぐ前に「ジュエル」という商業施設があり、屋内に滝があることで観光客に人気である。「空港に商業施設が併設されている」というものではなく、立派なシンガポール観光の見どころのひとつであろう。
そしてターミナル2とターミナル3を結ぶ交通機関がこのジュエルの屋内を突っ切っていて、滝の前では徐行する。空港のターミナル間を運行する交通機関に遊び心があるという部分がかなりユニークで、少なくとも日本ではありえないような感覚である。この交通機関は出国後のエリアだけではなく、一般エリアでも乗車でき、運賃は無料である。
シンガポールのチャンギ国際空港は、世界の空港ランキングなどで常に上位の空港であるが、だれも考えつかないような、突拍子もないことをやるものだと感心してしまう。
都市交通以外ではマレー鉄道がシンガポールへ乗り入れている。かつてはマレーシアの首都クアラルンプールからの長距離列車があり、バターワース始発の列車もあった。夜行列車も運転されていて、シンガポール側の駅は、中心地に近いタンジョンパガーに風情たっぷりの終点駅があり、この駅で出入国手続きが行われていた。筆者も何度かこの駅から国際列車を利用したことがある。
やがて、この駅では出入国手続きは行わず、シンガポールの島北部にあるウッドランズに出入国を行うチェックポイントが建設され、そこで乗客は一旦下車して出入国手続きとなったが、後に列車自体がそこを駅として起終点にするようになり、中心地に近いタンジョンパガーの駅は廃止された。
ウッドランズの駅はMRT南北線の同名の駅名になるウッドランズが最寄りとなるが、マレー鉄道のウッドランズ駅はかなり離れていて、バスに乗り換える必要がある。マレー鉄道のウッドランズ駅は、正確にはウッドランズ・トレイン・チェックポイントという。
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