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日本超えた?多民族国家シンガポールの鉄道事情 空港の商業施設は人気観光スポット、列車も走る

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 7時30分

現在は長距離列車の発着はなく、ジョホールバール―シンガポール間、つまり国境区間のみを行き来する、所要時間たった5分のシャトル列車となっている。ディーゼル電気機関車が客車を従える列車であるが、機関車の付け替えが不要になるよう、列車の両端に機関車を連結したプッシュ・プル列車である。

例外としては、豪華列車の「イースタン&オリエンタル・エクスプレス」がバンコクから週に1回ウッドランズまでやってくる。

かつてはバンコク―バターワース間とバターワース―シンガポール間の国際列車があり、長距離列車を乗り継いでのマレー半島縦断ができたのだが、現在は同じルートをたどるには、4回の乗り継ぎが必要になっている。

賃金の高いシンガポールは稼ぐ場所に

現在のマレーシアとシンガポール国境部分の交通の役割は以前とはかなり変わっている。鉄道も残っているが、大部分の往来は国境部分のみをシャトル運行する路線バスで、こちらは随時運行なので頻発している。筆者も何度か利用したが、10分以上待つことはないだろう。国境部分では、シンガポール側もマレーシア側も鉄道を使ってもバスを使っても発着場所は同じである。

バスが随時運行なのに対して列車は1日にシンガポールからマレーシアへ13本、マレーシアからシンガポールへ18本運行、その多くは早朝と深夜に集中、昼間は1時間に1本もなくなる。

この間のおもな往来目的は通勤になり、物価の安いマレーシアに住み、物価(賃金)の高いシンガポールは働く場所とする傾向となった。そのため、国境部分の鉄道とバスが発着するウッドランズ・トレイン・チェックポイントからMRT各駅へ向かう路線バスは、通勤時間帯は大混雑になる。

どのくらい物価が違うかは、鉄道運賃が物語っていて、ウッドランズ(シンガポール)からジョホールバールへが5シンガポールドル(約560円)に対し、ジョホールバールからウッドランズ(シンガポール)へは5リンギット(約160円)である。

この国境区間には鉄道の新路線を建設中で、MRTトムソンイーストコースト線の北の終点ウッドランズノースからジョホールバールセントラル(駅名はブキ・チャガル)までを結ぶ路線(Johor Bahru-Singapore Rapid Transit System)が2027年開業を予定している。

また、国境部分は物流の大動脈なので交通渋滞が深刻である。現在は渋滞解消のために架けられたシンガポール西部とマレーシアを結ぶトゥアス・セカンド・リンクという2番目の橋もあり、MRT東西線と南北線が接続するジュロン・イーストからこの橋を渡る路線バスも運行している。

風情たっぷりだったかつてのマレー鉄道

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